山王は上値試す、21年7月期は5G関連需要などで上振れ余地

株式市場 銘柄

 山王<3441>(JQ)は貴金属表面処理加工分野のリーディングカンパニーである。21年7月期は中国現法を売却して連結除外する影響で減収、営業・経常減益予想(純利益は特別利益計上で大幅増益予想)だが、5G関連需要増加などで上振れ余地がありそうだ。株価は12月の上場来高値圏から反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。

■貴金属表面処理加工(めっき加工)分野のリーディングカンパニー

 貴金属表面処理加工(めっき加工)分野のリーディングカンパニーである。コネクターを中心とする電子部品の貴金属表面処理加工を主力として、精密プレス加工なども展開している。新技術・新製品として、水素透過膜、銀めっきアクリル粒子の開発を推進している。

 連結子会社である山王電子(中国・無錫)の持分を譲渡(20年12月28日付で登記完了)した。生産を国内(東北工場)とフィリピンに集中して経営効率を高める方針だ。国内では東北事業部(工場)の設備を増強する。

 なお1月15日には、長期的な財務基盤の安定化を目的として、りそな銀行をアレンジャーとするシンジケートローン契約を締結したと発表している。

■21年7月期営業・経常減益予想だが5G関連需要などで上振れ余地

 21年7月期連結業績予想は、売上高が20年7月期比16.9%減の66億円、営業利益が21.8%減の1億40百万円、経常利益が18.6%減の70百万円、純利益が2.2倍の3億75百万円としている。

 第1四半期は売上高が前年同期比9.5%増の19億94百万円、営業利益が13百万円の黒字(前年同期は60百万円の赤字)、経常利益が13百万円の黒字(同80百万円の赤字)、純利益が9百万円の黒字(同84百万円の赤字)だった。5G関連部品需要の増加や自動車関連需要の回復などで増収・黒字化した。

 通期は中国現法の山王電子を譲渡して第2四半期から連結除外する影響(売上高への影響額は20年7月期比10億50百万円減少)で減収、営業・経常減益予想としている。純利益は特別利益に譲渡益3億50百万円を計上するため大幅増益予想である。

 連結除外の影響を除くベースでは、5G関連を中心にめっき加工需要が堅調に推移する見込みだ。東北工場生産能力強化に向けて設備投資を継続するため減価償却費が増加するが、5G関連需要増加などで通期上振れ余地がありそうだ。

■株価は上値試す

 株価は急伸した12月の上場来高値圏から利益確定売りで一旦反落したが、自律調整を交えながら上値を試す展開を期待したい。1月26日の終値は1695円、時価総額は約85億円である。

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