【話題】日本銀行株の一転ストップ安を受け日銀の「政策点検」に感心集まる

日銀と東証

■株価対策的な買いの見直しなど注視、日経平均は前場一時621円安

 前日まで4日連続ストップ高の日本銀行<8301>(JQS、出資証券)は3月5日前場、一転急落しストップ安の4万4000円(1万円安)となった。取引開始後は5万8000円(4000円高)まで一段高の場面があったが、黒田総裁が、「5日午前の衆院財務金融委員会で、日銀の出資証券について一般の株式と違い収益状態などを反映しないと説明した」(日経QUICKニュース)などと伝えられたことが一転売りの要因とみられている。

■日銀、アベノミクスで購入開始のETFすべて利食い圏の見方

 同社株は昨4日まで6日続伸し、うち直近4日間は連日ストップ高。6日間で2.05倍に急騰した。ちょうど、日経平均が終値で3万円の大台に乗った2月25日から連騰を開始したため、過去、「金余り相場」などと呼ばれた金融相場の局面で大きく上げた経緯から、今回は新型コロナ景気対策にともなう過剰流動性相場の象徴株とされ注目を集めた。

 ただ、日銀は、アベノミクス開始以来、株価対策としてETF(株価指数連動の上場投信)などを10年近く買い続けてきている。この資産が、今年初の外国人投資家の大幅な買い越し、日経平均の31年ぶりの3万円乗せによって含み益が拡大し、すべて利食い状態になったとされた。今回の株価急騰は、この面から注目されたのが本筋のようだ。

■現行の方式に「正常化」バイアスも、会合は3月18、19日

 日銀は、3月の金融政策決定会合をメドに現行の金融政策を「点検」し、結果を発表するとされている。ETFを買い続けたことにより、日銀は多くの上場銘柄の隠れた大株主になったとの指摘は以前から出ており、市場関係者の中には、ETF購入方式の見直しがあるかもしれないとの憶測もある。株価が3万円を回復した以上、株価対策的な買い介入は徐々に正常化すべきとの指摘もある。3月の金融政策会合は同月18、19日の予定となっている。

 5日の日経平均は、前場一時621円54銭安(2万8308円57銭)まで急落したが、後場は急速に値を戻している。日経平均の値動きは、日銀の金融政策会合が予定される3月中旬まで調整すれば、テクニカル的に日柄面で無理のない調整一巡になるとの見方も出ている。(HC)

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