【どう見るこの株】ソケッツは底値圏、23年3月期に事業拡大期を目指す

どう見るこの株

 ソケッツ<3634>(東2)は独自の「感性メタデータ」を活用したデータ関連サービスを展開している。22年3月期は先行投資期で赤字予想だが、23年3月期に事業拡大期を目指すとしている。中長期的に収益拡大を期待したい。新市場区分に関しては21年12月15日付でスタンダード市場を選択申請し、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成・開示している。23年度中にスタンダード市場の上場維持基準を充たすため各種取組を推進する。株価は地合い悪化も影響して軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。売り一巡して出直りを期待したい。

■独自の「感性メタデータ」を活用したデータ関連サービスを展開

 独自の「感性メタデータ」を活用したデータ関連サービスを展開している。音楽・映像・書籍・テレビ・イベントなどのエンターテインメント分野、および非エンターテインメント分野の一般商材などに関して独自のデータベースを開発し、データ提供サービス、レコメンドサービス、パーソナライズサービス、検索サービス、アナリティクス(データ分析)サービスとして提供している。

 効率性・安全性・生産性などを追及する一般的なAI(人工知能)とは異なり、独自の「人間の複雑な感性や感情を理解するAI」の開発から「心を豊かにするAI」に発展させ、エンターテインメント・テクノロジーをマーケティングに応用することを目指している。21年11月には感性メタデータ生成サービス「emoα」の提供を開始した。また22年春には共感をつなぐインターネット広告サービスをリリース予定としている。

 主要販売先は通信事業者・サービスプロバイダなどのサービス事業者である。サービス事業者はデータベースを活用してサービス利用者の好みを理解し、その嗜好性に合った商品・サービスの「おすすめ情報」を提供することが可能になる。

 21年3月期の主要取引先の売上構成比はLINE MUSICが20.5%、楽天グループが12.9%、レコチョク(レコチョクを通じてNTTドコモに提供)が11.9%、KDDIが10.8%だった。さらにヤフー、Hulu運営のHJホールディングス、ABEMA運営のサイバーエージェント、資生堂ジャパンなどにも提供している。収益は月額従量制・固定制のライセンス収入、および開発・運用収入である。

■22年3月期は先行投資、23年3月期に事業拡大期目指す

 22年3月期の業績(非連結)予想は、売上高が21年3月期比0.6%増の10億円、営業利益が85百万円の赤字(21年3月期は15百万円の赤字)、経常利益が85百万円の赤字(同15百万円の赤字)、当期純利益が88百万円の赤字(同51百万円の赤字)としている。

 第2四半期累計は、売上高が前年同期比8.3%減の4億15百万円、営業利益が62百万円の赤字(前年同期は54百万円の赤字)、経常利益が62百万円の赤字(同54百万円の赤字)、そして当期純利益が36百万円の赤字(同55百万円の赤字)だった。

 新規営業進捗遅れなどで減収となり、研究開発・データ開発などの先行投資で赤字だった。ただしライセンス売上比率の上昇(4.6ポイント上昇の70.9%)や、開発・運用の効率化などで粗利率は2.3ポイント上昇して44.2%となった。データライセンス提供先件数は2件増加して36件となった。

 通期予想は据え置いている。先行投資期として積極的な研究開発・データ開発を継続するため赤字予想だが、22年3月期中に単月黒字化し、23年3月期に事業拡大期を目指すとしている。中長期的に収益拡大を期待したい。

■株価は底値圏

 新市場区分に関しては、一次判定結果で流通株式時価総額がスタンダード市場の上場維持基準を充たしていないため、21年12月15日付でスタンダード市場を選択申請するとともに、新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書を作成・開示している。23年度中にスタンダード市場の上場維持基準を充たすため、業績向上による企業価値の向上や流通株式数・株主数の増加などに向けた各種取組を推進する。

 株価は地合い悪化も影響して軟調展開だが、ほぼ底値圏だろう。売り一巡して出直りを期待したい。1月7日の終値は733円、時価総額は約18億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■AIとベイジアンネットワーク解析で165項目を抽出、複雑な因果関係を構造化  大正製薬は11月2…
  2. ■Blackwell GPU2140基で研究競争力を拡大  NVIDIA(NVDA:NASDAQ)…
  3. ■銀座の呉服店「むら田」店主・村田あき子の語りをまとめた書籍  KADOKAWA<9468>(東証…
2025年12月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

ピックアップ記事

  1. ■日銀イベント通過で円高前提、紙・パ株が師走相場の主役候補  今週のコラムは、日銀の金融政策決定会…
  2. ■FOMC通過も市場は波乱、金利と為替に残る違和感  FRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公…
  3. ■眠れる6900トンの金が動き出す、「都市鉱山」開発でリデュース株に追い風  今週の当コラムは、金…
  4. ■天下分け目の12月10日、FRB利下げで年末相場は天国か地獄か?  天下分け目の12月10日であ…
  5. ■AI・データセンター需要拡大に対応、測定能力は従来比最大2倍  リガク・ホールディングス<268…
  6. ■売り方手仕舞いで需給改善が後押し  師走相場では、リスクの大きい銘柄であっても、逆日歩のつく信用…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る