朝日ラバーとGSIクレオスが「CNT充填シリコーンゴム複合材料」を共同開発、今春から納入開始

■高い導電性と最適硬度の両立に成功、さらに用途開発

 朝日ラバー<5162>(JQS)とGSIクレオス<8101>(東1)が共同で開発したカップ積層型カーボンナノチューブ(CSCNT)を分散したシリコーンゴム(導電シリコーンゴム)が、このたび、自動車向け部材として採用され、屋内外の過酷な環境でも適用可能な新導電素材として、今春から同関連業界向けに納入が開始されることになった。1月21日正午前、両社が連名で発表した。

■さらに航空機等向けセンサーやウェアラブルデバイス向けなどにも展開

 朝日ラバーでは、「本製品は自動車向けの採用が決まっており、さらに航空機等向けセンサーやケーブル、ウェアラブルデバイス向けなどへの用途展開を進める」としている。21日の株価は発表直後から急伸し、一時ストップ高の670円(100円高、17.5%高)まで上げ、出来高も急増した。

■シリコーンゴム部品の超⻑寿命化をもたらし、地球環境への負荷を軽減

 発表によると、従来の導電フィラー(充填剤)では、シリコーンゴムとフィラー界面の影響で、十分な導電性が得られないだけでなく、過剰な硬化、固化してしまうなど致命的な課題があった。これに対し、今回の開発品では、CSCNTを導電フィラーとして用いているが、このCSCNTは高い結晶性を有した優れたカーボンフィラーで、この高結晶性フィラーの充填により、シリコーンゴムの電気特性の向上だけでなく、硬度、柔軟性の最適調整を含む機械的特性、耐熱性、耐久性の向上、低比重(軽量)などが期待できることとなった。高い導電性と最適硬度の両立を達成することに成功した。

 これらの優れた特性は、シリコーンゴム部品の超⻑寿命化をもたらし、地球環境への負荷を軽減すると共に、柔軟性の最適化により高機能を保持したまま人体へ適用する場合の接触感の改善も可能となる。

■1月下旬に開催される国際ナノテクノロジー総合展・技術会議

 このCSCNT導電シリコーンゴムは、⻑期間にわたる実証試験の結果、このたび、屋内外の過酷な環境でも適用可能な自動車向け部材として採用され、今春から同関連業界向けに納入が開始されることとなった。

 本来、シリコーンゴムは環境対応性能が高く、高結晶で強靭なカーボンナノチューブ(CNT)との親和性は良いとされていたが、CNTの難分散性により製品化が実現されていなかった。今回の開発成功により、氷点下から高温、多湿、乾燥など、様々な過酷環境にさらされる自動車部材への適用が可能となり、これは画期的な成果と言える。

 こうした成果を受け、GSIクレオスでは、1月下旬に開催される、「nano tech 2022 第21回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」(東京ビックサイト、1月26~28日)に出展し、本導電シリコーンゴムのサンプルを展示する予定だ。

 朝日ラバーとGSIクレオスは、今後も本導電シリコーンゴムのマーケティングを共同で実施し、サステナブルな社会の実現に貢献する導電ゴムとして、自動車や航空機等向けセンサーやケーブル、IoT社会に適用が期待されるウェアラブルデバイスの電極パッドなどへの用途展開を進める。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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