伊藤園と富士通はAI画像解析による茶葉の摘採時期判断技術を開発

■スマホで撮影した画像でお茶の摘み頃を簡便に判断し、持続可能な農業に貢献

 伊藤園<2593>(東証プライム)と富士通<6702>(東証プライム)は5月10日、AI画像解析により茶葉(茶芽)の摘採時期を簡便に判断する技術を共同開発し、伊藤園が展開する茶産地育成事業の契約産地(契約産地)にて試験運用を開始すると発表した。

 同技術は、伊藤園の茶栽培に関する知見と富士通の画像解析技術およびAIの機械学習を組み合わせて共同開発した画像認識アルゴリズムにより、スマートフォンで撮影した摘採(収穫)前の茶葉の画像をクラウド上でAI解析して、摘採時期の判断指標となるアミノ酸量や繊維量を推定するものである。2022年の新茶摘採から同技術の試験運用を開始し、画像認識アルゴリズムの正確性や実用性を検証する。

 これにより、生産者の高齢化や後継者不足の折に、茶農業への新規参入の障壁となる課題を解決し、茶農業の生産力向上と持続性を両立することに寄与する。

 伊藤園と富士通は、茶葉の摘採時期を簡便に判断できる同技術の確立に向けて協働し、2023年の新茶摘採から契約産地で本格展開を目指す。今後も、安心・安全で高品質な緑茶原料の安定生産、茶生産者の労務負担軽減や品質の向上に寄与する技術開発などにより、持続可能な農業の推進に貢献していく。

■背景

 伊藤園は、独自の持続可能な農業モデル「茶産地育成事業」を通じて、茶をはじめとした農業の課題の一つである「雇用の創出と就農者の若返り」に関して技術支援による解決を目指している。茶葉は、摘採する時期が遅れると収穫量は多くなる一方で品質が低下する。日々変化する茶葉の生育状況から摘採時期を判断するためには、生産者の長年の経験から得られるノウハウ、または茶葉を採取・乾燥・粉砕のうえ専用機器で分析して見極める方法が一般的である。しかし、生産者の後継者育成や新規参入に際しては、摘採時期の判断は容易ではなく、生産力向上と持続性を両立するうえで課題の一つとなっている。

 そこで、伊藤園と富士通は、茶生産者の後継者育成や新規参入に際するハードルとなっている茶葉の摘採時期の判断を、AI画像解析により簡便化する技術を共同開発し、伊藤園の契約産地で試験運用を開始する。

■共同開発および試験運用の概要

 株式会社富士通鹿児島インフォネットの保有する画像解析技術と富士通のAIの機械学習を活用し、これらに伊藤園の茶栽培に関する知見を組み合わせることで、摘採前の茶葉の画像からアミノ酸量や繊維量などを推定する画像認識アルゴリズムを共同開発した。

 画像認識アルゴリズムの開発に際しては、およそ2年をかけて契約産地の一部で撮影した約4000枚の茶葉の画像をもとに、色味調整など加工を施した合計約8500枚の画像を用いてAI学習を行った。この画像認識アルゴリズムの正確性や実用性を検証するため、2022年の新茶摘採から撮影対象地域などを拡大して現場実証による試験運用を行い、2023年から契約産地での本格展開を目指していく。

■AI画像解析による茶葉の摘採時期判断技術の特長

 同技術は、茶畑で茶葉をスマートフォンで撮影するだけでアミノ酸量と繊維量を推定でき、茶葉の摘採時期を簡便に判断することができる。伊藤園は画像から推定するアミノ酸量と繊維量による品質と収穫量の関係性など茶栽培に関する全般の知見を提供し、富士通は画像解析技術およびAIの機械学習を組み合わせた画像認識アルゴリズムの作成技術を提供する。

 伊藤園と富士通は今回開発した技術をはじめ、今後も安心・安全で高品質な緑茶原料の安定調達と日本農業が抱える課題に対して支援・解決できる技術を開発し、「持続可能な農業」の推進に貢献する。

【解説】 富士通鹿児島インフォネットの保有する画像解析技術=畑で撮影された作物の画像を、日時、場所、生育段階といった情報を元に整理し、ディープラーニングで特徴と作物の成分値を組み合わせた推定モデルを作成。さらに色彩(Hue)、明度(Saturation)、彩度(Value・Brightness)といったHSVの観点で、チューニングなど推定値の精度向上させる手法であるTTA(Test-Time Augmentation)を用いて解析する技術。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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