三菱重工業、再び月へ!月面探査や有人探査の拠点整備に挑戦、宇宙技術で人類の活動領域を拡大

■月面環境技術開発と有人探査支援を発表

 三菱重工業<7011>(東証プライム)は、国内外の宇宙開発プロジェクトへの参画を通じた月面探査への挑戦を進めている。同社がこれまでの宇宙開発で培った知見や技術力を活用して宇宙分野における貢献を続けることで、アポロ計画から半世紀を経て再び試みられる人類の月面着陸への挑戦や人類の活動領域の拡大に向けた取り組みを推進していく。

■月周回有人拠点「ゲートウェイ」/国際居住棟(I-HAB)における環境制御・生命維持技術(ECLSS)の開発

 米国航空宇宙局(NASA)が主導する国際宇宙探査プログラム「アルテミス計画」において、月面有人探査の拠点となる月を周回する宇宙ステーション「Gateway」(ゲートウェイ)を構成する国際居住棟(I-HAB)の環境制御・生命維持技術を、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)主導のもと開発を担当している。月探査へ向かう宇宙飛行士の生活拠点であるI-HABにおける生命維持能力の中核を担う。

 国際宇宙ステーション(ISS)を開発した米国、欧州、カナダ、日本などの宇宙機関が再び結集するアルテミス計画は、「月に人類の活動の拠点を築くこと」を主な目的としている。計画の拠点として位置付けられるゲートウェイは月を周回する軌道上に建設予定で、宇宙飛行士が月に向かう際の中継基地として活用され、月探査に参加する宇宙飛行士の活動を支える。

 同社は、ISSの日本実験棟「きぼう」と「こうのとり」の開発および長年の運用で獲得した技術力を活用し、I-HABの環境制御・生命維持技術(ECLSS)の開発を担当する。ECLSSは、空気の供給やCO2・有害ガスの除去などを行うことで閉ざされた居住空間で人が生活するための環境を造り出すシステムで、将来の月面社会、火星や、さらに遠い天体の探査へ繋がる、人類の宇宙空間滞在には欠かせない技術である。

■月極域探査ミッション「LUPEX」の探査ローバ開発、トヨタ「有人与圧ローバ」の検討に協力

 JAXAとインド宇宙研究機関(ISRO)が協働する月極域探査ミッション「LUPEX」において、同社は探査ローバの開発を進めている。持続可能な月探査に必要な、水の量と質に関する資源探査としてのデータの取得を行うミッションである。社内研究を進めていた不整地走行技術の要素技術研究の成果を活用し、水の存在の可能性がある月の極域を調査する。探査ローバは完成後、ISRO開発の月面着陸機に搭載され、H3ロケットで2020年代半ばに打ち上げられる予定である。

 探査ローバで得られた走行実証技術や月面のデータは、今後の「有人与圧ローバ」の開発に生かされることが期待されている。また、同社は現在トヨタ自動車<7203>(東証プライム)がJAXAのもとで進めている、宇宙服を着ることなく搭乗可能な有人与圧ローバの検討にこれまで培ってきた宇宙機インテグレーション技術や耐宇宙環境技術、有人宇宙滞在技術を生かして協力していく。

■「こうのとり」からの発展を続け、ゲートウェイへの物資補給「ゲートウェイ補給機」の検討を支援

 2020年までに全9号機によりISSへの物資輸送を成功裏に導いた「こうのとり」、その後継機である「新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)」の開発に参画している。これらの経験を踏まえゲートウェイへの物資補給を担う「ゲートウェイ補給機」のJAXA検討に協力している。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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