加賀電子がマレーシアの工場を移転・拡張しEMS生産を増強へ、9月中旬の本格稼働めざす

■受託製造の引合い強く、中期利益目標の上方修正も視野

 加賀電子<8154>(東証プライム)はこの秋をメドにマレーシアの工場を移転・拡張し、EMS(受託製造サービス)の工場を新設し、9月中旬の本格稼働をめざす計画だ。日経産業新聞が7月1日付で伝え、会社側も大筋その通りと認めた。

 報道によると、「半導体不足や物流の混乱などを背景に電子部品の引き合いは強く、生産体制を整えて新規顧客を開拓する。主力の電子部品販売事業とEMS事業の合わせ技で業績を拡大する」「マレーシアの既存工場の22年3月期の売上高は約30億円。新工場移管後、25年3月期に50億円に伸ばす計画」という。新工場には2026年3月期までの5年間で約10億円を投資するが、直接の投資は生産設備などに限定し、土地と建物は賃貸とするなどで機動力のある拠点展開を行う。

■「スポット販売」今期業績予想には加味してないが環境は好調

 業績は売上高、主な利益とも連続最高を更新する見込みで、2023年3月期の連結営業利益の予想は前期比1.4%増の212億円としている。4期続けて最高を更新することになる。

 営業利益の伸びは前期の82%増に比べると大幅に慎重な予想だが、前期に大きく上乗せされた電子部品の「スポット販売」を今期はほとんど前提にしていないことなどが要因。世界的な半導体・電子部品不足は現在も続いているため、事業環境は引き続き追い風と見られている。

 同報道では、門良一社長は、「中計の営業利益目標の上方修正を視野に入れている。EMS事業と電子部品販売事業の両輪でさらなる成長を目指す」とした。『中期経営計画2024』では、数値計画として、25年3月期に売上高7500億円、営業利益200億円、などを掲げているが、上方修正に至るとすれば、証券会社アナリストなどのコンセンサスとされる250億円前後がメドになる可能性もあるようだ。

 1日午後の株価は日経平均の一段安(14時にかけて500円安)に押されるように3000円を割り込む展開となっている。しかし、5月中下旬には、いちよし経済研究所が5月16日付の企業レポートでフェアバリュー(妥当株価)を500円引き上げて6000円に見直し、SBI証券も5月31日付でレポートを更新し目標株価を450円引き上げて5750円とした。全体相場の地合いが回復すればこうした株価水準が再び意識されると見られている。(HC)(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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