アルコニックスは23年3月期1Q大幅増益、通期減益予想だが上振れの可能性

(決算速報)
 アルコニックス<3036>(東証プライム)は8月5日の取引時間中に23年3月期第1四半期連結業績を発表した。自動車関連が減産の影響を受けたが、半導体・電子部品関連の需要が高水準に推移し、市況や為替要因も寄与して大幅増収増益だった。不透明感を考慮して通期減益予想を据え置いたが、会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。第1四半期業績も好感する形となった。指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。

■23年3月期1Q大幅増益、通期減益予想据え置きだが上振れの可能性

 23年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比26.8%増の468億37百万円、営業利益が29.0%増の39億31百万円、経常利益が21.9%増の42億51百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が11.6%増の27億18百万円だった。自動車関連が減産の影響を受けたが、半導体・電子部品関連の需要が高水準に推移し、市況や為替要因も寄与して大幅増収増益だった。

 セグメント別の利益(経常利益)は、商社流通の電子機能材事業が77.4%増の18億30百万円、商社流通のアルミ銅事業が4.6%減の9億62百万円、製造の装置材料事業が20.9%増の4億26百万円、製造の金属加工事業が3.8%減の10億37百万円だった。

 商社流通の電子機能材事業では電子部品や二次電池材料の取扱高が増加し、レアメタル・レアアースの市況上昇も寄与した。商社流通のアルミ銅事業では、半導体・電子部品や建設関連のアルミ圧延品や伸銅品が増加したが、自動車減産の影響で銅・アルミスクラップおよびアルミ再生塊の取扱数量が減少した。製造の装置材料事業では米国および中国の拠点でめっき材料の出荷が増加した。製造の金属加工事業では、半導体製造装置向け精密切削加工部品が堅調に推移し、空調機器向け金属加工部品も増加したが、精密研削加工部品が部品調達難の影響で減少、金属精密プレス部品が自動車減産の影響で減少した。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が22年3月期比8.7%増の1700億円、営業利益が17.4%減の91億円、経常利益が18.3%減の90億円、親会社株主に帰属する当期純利益が9.4%減の68億円としている。配当予想は22年3月期と同額の52円(第2四半期末26円、期末26円)としている。

 セグメント別利益(経常利益)の計画は、商社流通の電子機能材事業が34.5%減の28億円、商社流通のアルミ銅事業が41.0%減の12億円、製造の装置材料事業が3.7%減の12億円、製造の金属加工事業が10.2%増の38億円としている。

 23年3月期はコロナ禍や地政学リスクに起因する物流の混乱、原材料の供給不足などによる生産・出荷の一時的な落ち込みを想定して減益予想としている。そして不透明感を考慮して通期予想を据え置いた。ただし通期予想に対する第1四半期の進捗率は売上高が27.6%、営業利益が43.2%、経常利益が47.2%、親会社株主に帰属する当期純利益が40.0%と高水準だった。会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は戻り試す

 株価は下値固め完了して反発の動きを強めている。第1四半期業績も好感する形となった。指標面の割安感も評価材料であり、戻りを試す展開を期待したい。8月5日の終値は1359円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS226円14銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の52円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS1889円53銭で算出)は約0.7倍、時価総額は約421億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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