アステナホールディングスは22年11月期3Q累計減益、通期予想据え置き

(決算速報)
 アステナホールディングス<8095>(東証プライム)は10月12日の取引時間終了後に22年11月期第3四半期累計連結業績(収益認識会計基準適用のため前年同期比増減率は非記載)を発表した。旧基準で比較すると売上高は堅調だが、原材料価格高騰などの影響で減益だった。そして通期も減益予想(7月13日付で利益を下方修正)としているが、積極的な事業展開で23年11月期の収益拡大を期待したい。株価は地合い悪化も影響して反発力の鈍い展開だ。目先的には第3四半期累計業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、通期減益予想を織り込み済みで下値限定的だろう。

■22年11月期3Q累計減益、通期減益予想据え置き

 22年11月期第3四半期累計の連結業績(収益認識会計基準適用のため前期比増減率は非記載、売上高が従来の方法と比較して減少するが営業利益以下への影響は軽微)は、売上高が369億28百万円(収益認識会計基準適用前の前年同期は537億27百万円)、営業利益が4億26百万円(同19億53百万円)、経常利益が5億16百万円(同20億40百万円)、そして親会社株主帰属四半期純利益が6億06百万円(同11億30百万円)だった。

 収益認識会計基準適用の影響額として、従来方法に比べて売上高が167億48百万円減少、売上原価が167億02百万円減少、営業利益、経常利益、税金等調整前四半期純利益がそれぞれ9百万円増加している。収益認識会計基準適用前ベースで見ると売上高は前年同期比0.1%減の536億76百万円、営業利益が78.6%減の4億17百万円、経常利益が75.1%減の5億07百万円、税金等調整前四半期純利益が43.8%減の11億15百万円となる。売上面は堅調だが、為替の急激な円安進行、原材料価格や物流費の高騰などの影響で減益となった。

 ファインケミカル事業は、売上高が110億90百万円(同169億50百万円)で、利益(調整前営業利益)が1億68百万円(同10億13百万円)だった。大幅減益だった。医薬品原料分野は新規GE品目や中間体も寄与して堅調だったが、CDMO分野が事業環境の変化や案件納期の変更などの影響で低調だった。

 HBC・食品事業は売上高が104億44百万円(同208億49百万円)で、利益が91百万円の赤字(同4億42百万円の赤字)だった。赤字が大幅に縮小した。化粧品通販分野における広告見直し、一般用医薬品を主体とする卸売分野における不採算取引整理や営業機能再編等の構造改革、マルマンH&Bが取り扱う韓国コスメ関連や自社ブランドのシートマスク「ピュレア」の拡販などが寄与した。

 医薬事業は売上高が89億32百万円(同96億91百万円)で、利益が3億88百万円(同11億19百万円)だった。大幅減益だった。成長に向けた国内初のGE新製品の承認取得、美容医療ブランドホルダー機能移管などで売上面は堅調だが、医療用医薬品分野における各種コスト上昇が影響した。

 化学品事業は、売上高が64億59百万円(同62億35百万円)で、利益が1億30百万円の赤字(同3億10百万円の黒字)だった。大幅減益だった。表面処理薬品分野では既存製品の販売が伸び悩み、表面処理設備分野では原材料価格高騰の影響を受けた。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が122億85百万円で営業利益が6億30百万円、第2四半期は売上高が126億49百万円で営業利益が90百万円、そして第3四半期は売上高が119億94百万円で営業利益が2億94百万円の赤字だった。

 通期の連結業績予想(22年7月13日付で利益を下方修正)は据え置いて、売上高が500億円(収益認識会計基準適用前ベースでは700億円)、営業利益が10億円、経常利益が10億円、親会社株主帰属当期純利益が11億円としている。配当予想は21年11月期と同額の18円(第2四半期末9円、期末9円)としている。

 収益認識会計基準適用前の21年11月期実績(売上高が723億22百万円、営業利益が22億33百万円、経常利益が24億20百万円、親会社株主帰属当期純利益が17億36百万円)との単純比較で算出すると、営業利益は55.2%減益、経常利益は58.7%減益、親会社株主帰属当期純利益は36.6%減益となる。為替の急激な円安進行、原材料価格や物流費の高騰などが影響する見込みだ。

 第3四半期累計の進捗率は売上高が73.9%、営業利益が42.6%、経常利益が51.6%、親会社株主帰属当期純利益が55.1%だった。四半期別に見て第3四半期が営業赤字だったことを勘案すれば、通期利益予想は再下振れの可能性に注意が必要だが、第4四半期の挽回を期待したい。そして積極的な事業展開で23年11月期の収益拡大を期待したい。

■株価は下値限定的

 株価は地合い悪化も影響して反発力の鈍い展開だ。目先的には第3四半期累計業績を嫌気する動きが優勢になる可能性もあるが、通期減益予想を織り込み済みで下値限定的だろう。10月12日の終値は422円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS27円59銭で算出)は約15倍、今期予想配当利回り(会社予想の18円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS677円09銭で算出)は約0.6倍、そして時価総額は約172億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■グローバルモデルに匹敵する日本語対応の高性能生成AIを4月から順次提供  ELYZAとKDDI<…
  2. ■優勝への軌跡と名将の言葉  学研ホールディングス<9470>(東証プライム)は3月14日、阪神タ…
  3. ■新たな映画プロジェクトを発表  任天堂は3月10日、イルミネーション(本社:米国カリフォルニア州…
2024年4月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■金先物と原油価格、史上最高値に迫る―地政学リスクが市場に与える影響  今週のコラムは、異例中の異…
  2. ■「虎」と「狼」の挟撃を振り切り地政学リスク関連株で「ピンチはチャンス」に再度トライ  東京市場は…
  3. ■海運株と防衛関連株、原油価格の動向に注目集まる  地政学リスクによる市場の不安定さが増す中、安全…
  4. ■中東緊張と市場動向:投資家の選択は?  「遠い戦争は買い」とするのが、投資セオリーとされてきた。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る