【株式市場特集】バリュー株の宝庫、旧住友財閥系の上場会社は資源、素材、金融など幅広い分野で業界トップ

 旧住友財閥系の上場会社は、日本の企業グループの有力な一角を形成し、資源、素材、金融など幅広い分野で業界トップの覇権争いを演じている。しかもこの多くの株価が、低PER・PBR・高配当利回り水準に放置されたままでバリュー株の宝庫なのである。しかも足元では、住友商事<8053>(東証プライム)が、きょう26日まで住友精密工業<6355>(東証スタンダード)を株式公開買い付け(TOB)を進めて子会社化するグループ内再編の動きも垣間見られるのである。

 関連する上場会社は、住友グループ広報委員会が上げたグループ会社のほか、社名に「友」がつかない会社、系列色のある会社なども含めると合計29社が集計された。業績動向は、今期業績の上方修正組を「勝ち」、下方修正組を「負け」、期初予想据え置き組を「引き分け」とすると9勝12敗8引き分けとややアゲインストではある。しかしPER評価は、2社が赤字予想にあるものの、過半の15社が10倍以下であり、PBRは、3社を除いた26社がPBR1倍を割り、無配予想はわずか1社で年間配当利回りが5%を上回る銘柄は5銘柄を数えるのである。

 新春のご祝儀相場は、歌会始のお題の「友」のように、住友グループ株で「友釣り」も一興となりそうだ。

■業績修正は9勝12敗8分けも低PER・PBR・高利回り株が目白押し

 業績修正が9勝12敗8分けのうち、業績上方修正組の9銘柄をコード番号順にあげると住友林業<1911>(東証プライム)、住友精化<4008>(東証プライム)、日本製鉄<5401>(東証プライム)、明電舎<6508>(東証プライム)、住友精密工業、マツダ<7261>(東証プライム)、住友商事、三井住友フィナンシャルグループ<8316>(東証プライム)、住友倉庫<9303>(東証プライム)となる。日本製鉄とマツダは、厳密には住友グループ会社とは言いにくいが、日本製鉄は、2012年に新日本製鉄と住友金属工業が合併して誕生した会社であり、マツダは、かつての経営ピンチ時には住友銀行主導で米国フォードと提携した経緯があり、いずれも系列色を残す。

 PER評価は、PER3倍台の日本製鉄を先頭に4倍台、5倍台、6倍台と割安株が続き、最も高PERでも明電舎の10倍台である。9銘柄のうち中間配当を増配した日本製鉄を含めて6社が、今期配当を増配しており、年間配当利回りは、住友商事の5.15%をトップに住友倉庫の5・06%、住友林業の5.03%、住友精化の5.00%、三井住友FGの4.47%、マツダの4.05%、日本製鉄4.04%(期末配当は未定)と続く。

■ルーツ会社の住友金鉱は安全資産人気を期待し業績下方修正組でも増配のケース

 旧住友財閥のルーツ会社の住友金属鉱山<5713>(東証プライム)は、今期業績も配当も小幅下方修正、小幅減配となっているが、それでもPERは9倍台、PBRは0.8倍、配当利回りは3.72%の評価にしか過ぎない。世界的に金融市場が不安定化するなか安全資産の金への回帰も予想され、日本一の産金会社の同社株の存在感が増す展開も想定範囲内となる。

 このほか業績予想据え置きでも配当を増配した住友不動産<8830>(東証プライム)、業績下方修正でも増配したMS&ADインシュランスグループ<8725>(東証プライム)、さらに業績下方修正しても配当利回りが5.08%と高位をキープの住友化学<4005>(東証プライム)、減配しても配当利回りが4.32%となる三井住友建設<1821>(東証プライム)、配当利回りが4.36%の三井住友トラスト・ホールディングス<8309>(東証プライム)などにもリターンマッチが期待できそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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