【どう見るこの相場】新春はまず歌会始のお題関連の住友グループ株からご祝儀投資も一考余地

どう見るこの相場

 「掉尾の一振」は、どうも「掉尾の三振」模様である。日本銀行の黒田東彦総裁が、異次元金融緩和策の実質的な転換ともいうべき曲球をマーケットに投げ込んできたからだ。不意を衝かれて振ったバットは、空を切り反動でヘルメットは飛ぶわ、尻もちはつくわ、ユニフォームは泥だらけと散々で、お蔭で日経平均株価は12月20日以来、前週末23日まで1100円超の急落に見舞われ、今年10月安値の2万5621円割れはもちろん、今年3月に突っ込んだ年初来安値2万4681円への一段安まで心配もしなくてはならなくなっている。

 師走相場の打席に立っていた投資家からすれば、マウンドに立つ相手投手は、FRB(米国連邦準備制度理事会)のパウエル議長とばかり想定していたはずである。それが黒田東彦総裁が、緊急登板して足元をすくわれ、日米両市場で挟み撃ち・股裂き状態となったことになる。しかも、これは日銀の伝統でもある。日銀は、かつての政策金利であった公定歩合の操作に関して事前にウソを言っても構わないとされていた。まして黒田総裁は、財務省(旧大蔵省)官僚上がりで、名うての通貨マフィアの一統であり、マーケットを煙にまくことなどお手のものに違いない。年内相場は、きょう26日を含めても残り5日間、すでに勝負は決まったようなもので、自律反発狙いやロング・ショート戦略などとシタバタするほど黒田トラップ(落とし穴)の深みに引き込まれる可能性があり、油断ができない。

 こうなれば年内相場より新年相場である。除夜の鐘を聞いて初日の出を拝み、短いながらも正月休みに家族サービスに精を出せば、投資家心理も改まり新しい相場シーンを期待を持って迎えられるかもしれない。となれば、まず新春相場恒例のアノマリー投資へのトライである。恒例のアノマリー投資の関連株といえば、今年2023年の干支「 卯 」関連株か歌会始のお題関連株が直ぐ浮かぶ。ところがこの干支の「 卯 」関連株は、なかなかスクリーニングするのが難しい。そこで歌会始のお題関連株である。2023年1月に開かれる歌会始のお題は「友」である。社名に「友」が含まれる上場会社といえば、まず住友グループ会社が連想されるからだ。

 旧住友財閥系の上場会社は、日本の企業グループの有力な一角を形成し、資源、素材、金融など幅広い分野で業界トップの覇権争いを演じている。しかもこの多くの株価が、低PER・PBR・高配当利回り水準に放置されたままでバリュー株の宝庫なのである。しかも足元では、住友商事<8053>(東証プライム)が、きょう26日まで住友精密工業<6355>(東証スタンダード)を株式公開買い付け(TOB)を進めて子会社化するグループ内再編の動きも垣間見られるのである。

 関連する上場会社は、住友グループ広報委員会が上げたグループ会社のほか、社名に「友」がつかない会社、系列色のある会社なども含めると合計29社が集計された。業績動向は、今期業績の上方修正組を「勝ち」、下方修正組を「負け」、期初予想据え置き組を「引き分け」とすると9勝12敗8引き分けとややアゲインストではある。しかしPER評価は、2社が赤字予想にあるものの、過半の15社が10倍以下であり、PBRは、3社を除いた26社がPBR1倍を割り、無配予想はわずか1社で年間配当利回りが5%を上回る銘柄は5銘柄を数えるのである。

 新春のご祝儀相場は、歌会始のお題の「友」のように、住友グループ株で「友釣り」も一興となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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