加賀電子は23年3月期通期業績予想を3回目の上方修正、配当予想は2回目の上方修正、さらなる上振れの可能性

(決算速報)
 加賀電子<8154>(東証プライム)は2月7日の取引時間終了後に23年3月期第3四半期累計連結業績を発表した。第3四半期累計として過去最高業績だった。主力の電子部品事業が伸長して大幅増収となり、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上も寄与して大幅増益だった。そして通期連結業績予想を3回目の上方修正、配当予想を2回目の上方修正とした。第3四半期累計の上振れ分を上方修正して第4四半期の計画を据え置いた形であることを勘案すれば、通期会社予想はさらなる上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は調整一巡して22年11月の上場来高値に接近している。指標面の割安感は依然として強い。好業績を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■23年3月期通期業績予想を3回目の上方修正、さらなる上振れの可能性

 23年3月期第3四半期累計(4月~12月)の連結業績は、売上高が前年同期比28.2%増の4522億21百万円、営業利益が77.4%増の260億06百万円、経常利益が78.8%増の266億18百万円、親会社株主帰属四半期純利益が82.9%増の190億53百万円だった。

 第3四半期累計として過去最高業績だった。売上面は主力の電子部品事業が半導体・電子部品の需給緩和も背景として、広範な産業向けに伸長して大幅増収だった。利益面は大幅増収効果に加えて、販売ミックス良化に伴う売上総利益率向上(1.1ポイント上昇して13.2%)も寄与して大幅増益だった。販管費は20.5%増加したが、販管費比率は0.5ポイント低下して7.5%となった。営業外では持分法投資損益が改善(前年同期は損失4億99百万円、今期は利益58百万円)した。特別利益では投資有価証券売却益が増加(前年同期は1億18百万円、今期は6億26百万円)した。

 電子部品事業は、売上高が30.2%増の4056億08百万円、セグメント利益(全社費用等調整前営業利益)が79.5%増の233億41百万円だった。部品販売ビジネスでは、半導体・電子部品の需給緩和も背景として広範な業界向けに販売が高水準に推移した。車載向けは供給不足が続いたが、独立系商社としての調達力の強みを活かして販売物量を確保した。EMSビジネスも車載関連や医療機器関連を中心に好調だった。

 情報機器事業は売上高が10.8%増の291億39百万円、利益が23.3%増の14億99百万円だった。法人向けおよび教育機関向けパソコン販売が高価格製品を中心に堅調だった。資材不足で遅延していたLED設置ビジネスの大口工事の進捗も寄与した。

 ソフトウェア事業は売上高が12.8%増の20億76百万円、利益が1億35百万円の黒字(前年同期は1億09百万円の赤字)だった。スマホ向けゲーム制作やCG制作における大型案件や新規案件の受注が回復した。

 その他事業は売上高が17.3%増の153億97百万円、利益が105.3%増の9億71百万円だった。PC製品・周辺機器のリサイクルビジネスが好調に推移した。アミューズメント業界向けアーケードゲーム機器やゴルフ商品も伸長した。

 会社別の営業利益(連結調整前)は、加賀電子が58.3%増の175億78百万円、加賀EFIが189.8%増の70億10百万円、エクセルが8.1%増の13億77百万円だった。また中計セグメント別営業利益(連結調整前)は、電子部品事業が104.6%増の159億01百万円、EMS事業が45.1%増の79億26百万円、CSI(コンシューマー&システムインテグレーター)事業が23.3%増の14億99百万円、その他事業が380.2%増の6億20百万円だった。

 なお四半期別に見ると、第1四半期は売上高が1493億02百万円で営業利益が98億20百万円、第2四半期は売上高が1494億58百万円で営業利益が85億41百万円、第3四半期は売上高が1534億60百万円で営業利益が76億45百万円だった。第3四半期の営業利益は販管費でインフレ手当を含めた特別一時金17億円を引き当てたため、第2四半期比で減益の形となっている。

 通期の連結業績予想(22年8月4日付で上方修正、22年11月8日付で2回目の上方修正、23年2月7日付で3回目の上方修正)については、売上高が22年3月期比18.0%増の5850億円、営業利益が41.0%増の295億円、経常利益が39.8%増の300億円、親会社株主帰属当期純利益が36.3%増の210億円としている。配当予想(22年11月8日付で第2四半期末特別配当30円、期末特別配当20円、合計特別配当50円上方修正、23年2月7日付で期末特別配当20円上方修正)は、22年3月期比100円増配の220円(第2四半期末100円=普通配当70円+特別配当30円、期末120円=普通配当70円+創立55周年記念配当10円+特別配当40円)としている。

 通期の連結業績予想は前回予想に対して、売上高を150億円、営業利益を15億円、経常利益を10億円、親会社株主帰属当期純利益を10億円、それぞれ上方修正した。半導体・電子部品の需給動向や為替変動などの不透明感を考慮して、第3四半期累計時点の上振れ分(社内計画に対して売上高182億円、営業利益15億円それぞれ上振れ)を反映させた。

 修正後セグメント別計画は、電子部品事業の売上高が20.5%増の5230億円(前回予想は5070億円)で利益が42.5%増の258億円(同248億円)、情報機器事業の売上高が1.6%減の390億円で利益が4.1%減の20億円、ソフトウェア事業の売上高が8.4%増の30億円(同40億円)で利益が2億円の黒字(22年3月期は26百万円の赤字)、その他事業の売上高が2.1%増の200億円で利益が139.6%増の15億円(同10億円)としている。

 修正後の通期予想に対する第3四半期累計の進捗率は売上高が77.3%、営業利益が88.2%、経常利益が88.7%、親会社株主帰属当期純利益が90.7%となる。第3四半期累計の上振れ分を上方修正して第4四半期の計画を据え置いた形であることを勘案すれば、通期会社予想はさらなる上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は上値試す

 株価は調整一巡して22年11月の上場来高値に接近している。指標面の割安感は依然として強い。好業績を評価し、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。2月7日の終値は4450円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS799円78銭で算出)は約6倍、今期予想配当利回り(会社予想の220円で算出)は約4.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS4026円22銭で算出)は約1.1倍、そして時価総額は約1277億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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