【株式市場特集】取得総額の大きな自己株式取得株、発行済み株式総数に占める取得比率の高い小型自己株式取得株などマーク

 自己株式取得の株高先行順位効果を大きくアピールするキー銘柄は、もしかしたら大日本印刷<7912>(東証プライム)とも考えられる。同社株は、今年3月9日に自己株式取得(取得上限4000万株、取得総額1000億円)と自己株式消却、中期経営計画を発表し、中期経営計画ではROE(株主資本利益率)10%とPBR1・0倍超、自己株式取得ではさらに2000億円の上乗せを目標とており、これは今年2月に同社大株主に浮上した物言う株主への一発回答との見方も強い。

 株価は、今年1月の昨年来安値2497円から窓を開ける三段上げで上場来高値4160円まで約7割高し、金融システム不安による世界同時株安のなか3560円まで急落し25日移動平均線を出没し下値を確かめているが、今年6月の定時株主総会へ向け期末の需給思惑が高まるようなら、自己株式取得株の株高効果期待へ広く波及する可能性もある。同社の動向を横目で睨みながら、取得総額の大きな自己株式取得銘柄、発行済み株式総数に占める取得比率の高い小型自己株式取得株などをマークしたい。

■取得総額上位銘柄は業績上方修正、増配も並行し下値硬直性

 今年年初から自己株式取得を発表した銘柄のうち、取得総額がもっとも大きいのは三井物産<8031>(東証プライム)である。同社は、昨年11月に自己株式取得を発表したが、それを今年2月に変更し、取得総額を1400億円から2400億円へ、取得株式数を6000万株から8000万株に上方修正した。同時に業績の再上方修正、再増配も打ち出した。次いで取得総額の大きいのが、1000億円の三菱商事<8058>(東証プライム)、大日本印刷、700億円のホンダ<7267>(東証プライム)、600億円の出光興産<5019>(東証プライム)、500億円のアステラス製薬<4503>(東証プライム)、AGC<5201>(東証プライム)、日東電工<6988>(東証プライム)、住友商事<8053>(東証プライム)、さらに400億円で積水ハウス<1928>(東証プライム)、シチズン時計<7762>(東証プライム)が並んでベスト10にランクインする。

 大手商社株は、伊藤忠商事<8001>(東証プライム)も取得総額250億円で自己株式取得を発表しており、資源価格の下落などがアゲインストになるが、増配による期末の配当権利取りの再燃によるリバウンド期待も下値固め要因となる。また出光興産、日東電工、ホンダの3社は、今期業績の下方修正とのバーターとしての自己株式取得で、株価下ぶれへ抵抗力を示した経緯もあり、再度の下値固め材料として意識されそうだ。

■取得比率トップ7銘柄は低PER・PBR放置が目立ちリバウンド期待

 自己株式取得の発行済み株式総数に占める取得比率の高い小型株は、大株主の保有株売却を受けて立会外買付取引の取得比率が28.02%となったティビィシィ・スキヤツト<3974>(東証スタンダード)以下、25.61%のシチズン時計、16.00%のALiNKインターネット<7077>(東証グロース)、15.05%の大日本印刷、13.57%のアドウェイズ<2489>(東証プライム)、12.68%のピクスタ<3416>(東証グロース)、11.99%の電気興業<6706>(東証プライム)と続いてベスト7となる。

 このうち電気興業は、業績の下方修正・赤字転落とのバーターとしての自己株式取得だが、今3月期業績と配当を2回上方修正したシチズン時計のほかティビシー、ALiNK、大日本印刷、ピクスタなどは低PER・PBR水準に位置しており、下値からのリバウンド期待をサポートしよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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