MRI、GPTによるレポート自動作成機能を持つWebサーベイAI「ロボリサ」を提供、誤情報を検知・削除し、レポートの信頼性を向上

■大規模言語モデル(LLM)を適用

 三菱総合研究所(MRI)<3636>(東証プライム)は4月20日、Webからの情報収集および整理・レポーティングを自動化するAIツール「ロボリサ」に、ChatGPT等で利用されている大規模言語モデル(LLM)を適用し、高品質な調査レポートの自動生成を実現、提供を開始したと発表。LLMは誤情報が出力されることが喫緊の課題だが、「ロボリサ」では誤情報を検知・削除する機能を搭載し、レポートの信頼性を高めている。

■背景・経緯

 昨今、経営・事業に関するニュースの周辺情報のレポーティングや、業界動向・研究動向等の調査・整理は、日常的に行われている。ChatGPTに代表されるLLMが次々に登場してレポーティングや情報整理の品質は大きく向上し、これらの業務の効率化が見込まれる。一方で、LLMの出力には創作された内容や不正確な情報が含まれること(誤情報)が大きな問題となっている。

 MRIでも、日々レポーティングや情報整理業務を遂行している。これら業務の自動化を目指し、MRIがシンクタンク・コンサルティング業務の経験と自然言語処理技術を活かして開発したのが、Web情報収集・整理・レポーティングツール「ロボリサ」。MRIにおいてロボリサを活用したケースでは、Web情報収集時間の80%削減と研究員の知見底上げに貢献した。

 このロボリサに誤情報を検知・削除する機能を実装し、信頼性の高いレポートの生成に成功した。

■概要・特徴

 ロボリサは、公開されたWebサイトであらかじめ情報収集対象として設定したものの中から日々新着情報を収集、要約し、外国語情報は翻訳した上でデータベースに蓄積する。蓄積した情報は検索・閲覧やメール配信ができるほか、時系列のサマリーを生成するといったレポーティング機能も有している。今回、以下2点を実施し、レポーティング機能を大幅に強化した。

(a)GPT-3.5およびGPT-4を用いたレポート自動作成機能の実装
 レポートの素材となる文章生成エンジンとして代表的なLLMであるGPT-3.5およびGPT-4を採用し、レポート作成機能を大幅に強化した。利用者がレポート化したい内容を質問すると、ロボリサは自身のデータベースに蓄積した情報を参考にしてひな型に文章を流し込み、PowerPoint形式のレポートを生成する。また、画像生成AIにより、レポート内容に沿った画像も生成・挿入する。

(b)生成された文章に含まれる誤情報を検知・削除する機能の検証と実装
 レポートに誤情報が含まれると誤った意思決定を引き起こす可能性があり、望ましくない。そこで、誤情報が出力される原因を「LLMの処理」と「情報源」の2つに分解し、それぞれ対処することで、誤情報を検知・低減できることを検証した。この結果に基づき、ロボリサは、誤情報である可能性が低い文章のみをレポートに含める。

■今後の予定

 LLMにより、少量かつ未整理のデータから飛躍的にAIを構築できるようになることから、AIの活用分野は一層広がると考えられる。一方で、誤情報を出力する可能性は残るため、AIの出力を監視する役割の一つである誤情報検知機能は重要。

 MRIは、企業や官公庁の企画業務へのDX導入に積極的に取り組んでいるが、実用的な調査レポートの自動作成が可能になれば、経営企画や研究企画・新製品企画など、情報収集を日常的に実施している顧客自身の業務を大幅に軽減できる。MRIは今後、このような顧客を中心に、ロボリサの提供を拡大していく。そして、法令順守・情報保護・信頼性確保等に引き続き留意しながら、先進的なAIを活用したソリューション・コンサルティングを提供していくとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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