アルコニックスは23年3月期減益着地、24年3月期利益横ばい予想

(決算速報)
アルコニックス<3036>(東証プライム)は5月12日の取引時間中に23年3月期連結業績を発表した。売上面は円安や非鉄市況上昇などで計画を上回る増収だったが、利益面は需要家の生産調整や販管費の増加などで計画を下回り減益だった。24年3月期はIT機器関連や自動車関連の需要が回復に向かうことを見込み、増収・利益横ばい予想としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。株価は小幅レンジでモミ合う形だ。24年3月期利益横ばい予想に対してややネガティブ反応となったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。

■23年3月期減益着地、24年3月期は増収・利益横ばい予想

23年3月期連結業績は売上高が22年3月期比14.1%増の1783億33百万円、営業利益が23.8%減の83億93百万円、経常利益が25.7%減の81億76百万円、そして親会社株主帰属当期純利益が26.9%減の54億88百万円だった。配当は5月12日付で期末2円上方修正して22年3月期比2円増配の54円(第2四半期末26円、期末28円)とした。配当性向は29.6%となる。

売上面は円安や非鉄市況上昇などで計画を上回る増収だったが、利益面は需要家の生産調整や販管費の増加などで計画を下回り減益だった。経常利益29億円減益の要因分析は売上総利益減少で▲7億円、人件費増加で▲4億円、物件費増加で▲10億円、為替要因で▲6億円、営業外損益で▲2億円としている。売上総利益は、一部の製造子会社の利益貢献や新たにグループ入りした製造子会社の収益取込がプラス要因だったが、商社流通における相場下落や仕入コスト上昇がマイナス要因だった。人件費および物件費増加は、営業活動費や新規M&Aによる販管費が増加した。なお特別利益では投資有価証券売却益が1億87百万円減少、負ののれん発生益3億46百万円を計上、特別損失ではのれん償却額1億70百万円を計上した。

セグメント別利益(セグメント間利益消去前経常利益)は、商社流通の電子機能材がIT関連の電池材料取扱数量減少などで15.7%減の36億01百万円、商社流通のアルミ銅が仕入コストの上昇などで42.4%減の11億71百万円、製造の装置材料が自動車関連材料分野や検査・試験装置分野の出荷減少で19.8%減の9億98百万円、製造の金属加工が自動車関連や半導体実装装置向け部品の出荷減少などで30.0%減の24億16百万円だった。

四半期別に見ると、第1四半期は売上高が468億37百万円、営業利益が39億31百万円、経常利益が42億51百万円、第2四半期は売上高が453億77百万円、営業利益が17億51百万円、経常利益が18億54百万円、第3四半期は売上高が434億98百万円、営業利益が15億73百万円、経常利益が15億45百万円、第4四半期は売上高が426億21百万円、営業利益が11億38百万円、経常利益が5億26百万円だった。第2四半期以降に減速した形となっている。

24年3月期の連結業績予想は、売上高が23年3月期比4.3%増の1860億円、営業利益が0.1%増の84億円、経常利益が0.3%増の82億円、親会社株主帰属当期純利益が0.2%増の55億円としている。配当予想は23年3月期と同額の54円(第2四半期末27円、期末27円)としている。

IT機器関連や自動車関連の需要が回復に向かうことを見込み、増収・利益横ばい予想としている。セグメント別利益(セグメント間利益消去前経常利益)は、商社流通の電子機能材が41.7%減の21億円、商社流通のアルミ銅が23.1%減の9億円、製造の装置材料が60.3%増の16億円、製造の金属加工が49.0%増の36億円としている。積極的な事業展開で収益拡大を期待したい。

■株価は下値切り上げ

株価は小幅レンジでモミ合う形だ。24年3月期利益横ばい予想に対してややネガティブ反応となったが、指標面の割安感も評価材料であり、目先的な売りが一巡して出直りを期待したい。5月12日の終値は1381円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS182円69銭で算出)は約8倍、今期予想配当利回り(会社予想の54円で算出)は約3.9%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS2075円25銭で算出)は約0.7倍、そして時価総額は約428億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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