【東京商工リサーチ調べ】上場ゼネコン53社、売上高は過去最高も利益は減少

■資材高騰で利益率悪化、建設業界に深刻な影

 東京商工リサーチの調査によると、上場ゼネコン53社の2024年3月期決算は、売上高が13兆6,813億円に達し、過去最高を記録したが、利益は5年間で半減した。資材価格や労務費の高騰により、売上高は増加する一方で、営業利益率が低下し、建設業界全体に影響を及ぼしている。主要ゼネコンの売上総利益率は8.9%に落ち込み、利益なき成長が続いている。

 都市部の再開発や公共工事の価格上昇により、上場ゼネコンの売上高と受注高は増加したが、利益率の低下が顕著である。2024年3月期の受注高は14兆5,603億円、繰越工事残高は20兆1,736億円と過去最高を記録した。建設業界全体が直面するコスト増大の問題が浮き彫りになっている。

 ゼネコン各社の業績推移を見ると、売上高は3期連続で増加しているが、利益率は低下し続けている。2024年4月からの時間外労働の上限規制も加わり、建設業界は労働環境の改善と利益率の向上という二重の課題に直面している。小・零細規模の企業の脱落が続く中、大手ゼネコンの動向が業界全体に影響を与えている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■最大出力600kW、回生量700kWの次世代マシンで技術革新へ  ヤマハ発動機<7272>(東証…
  2. ■日本全土を対象に、auスマホが衛星と直接接続  KDDI<9433>(東証プライム)と沖縄セルラ…
  3. ■1.5Gハンディ端末とAIカメラで作業時間を大幅短縮  三菱重工業<7011>(東証プライム)グ…
2025年5月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

ピックアップ記事

  1. ■株価防衛の鍵を握る自社株買い  自己株式取得は企業の株価を下支えする手段として注目されているが、…
  2. ■トランプ関税が引き金?異例の自己株買いラッシュの内幕  さしものの自己株式取得ラッシュも、決算発…
  3. ■木徳神糧と三菱食品、逆行高の先駆けとなる動き  食料品の消費税減税関連株に新たな動きが見られる。…
  4. ■トランプ大統領「米国株は絶好の買い時」英国との関税合意後に発言  米国のトランプ大統領が、またま…
  5. ■スタンレー電気など年初来安値銘柄の業績見通しに焦点  日経平均株価が4月に大幅下落する中、年初来…
  6. ■トランプ劇場、急転換の舞台裏!米中摩擦、FRB人事…予測不能な変幻自在  「クルマは急に止まれな…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る