IHI、ルーマニア国内最長の大型吊橋ブライラ橋が開通、交通利便性が大幅に改善

■EU域内の経済活性化にも貢献

 IHI<7013>(東証プライム)のグループ会社であるIHIインフラシステム(所在地:大阪府堺市、社長:上田和哉、「IIS」)が、イタリアの建設会社Webuild社(旧Astaldi社)とのJVで建設を進めていた、ルーマニア国内最長となる大型吊橋「ブライラ橋(Braila Bridge)」が、7月6日(木)に開通した。

 同日行われた開通式には、ヨハニス大統領、チョラク首相等のルーマニア政府要人、日本からは吉川ゆうみ外務大臣政務官、駐ルーマニア 植田浩日本国特命全権大使、IHI常務執行役員 川上剛司、IIS代表取締役社長 上田和哉をはじめ、多数の関係者が出席した。

 同プロジェクトは、ルーマニア東部の主要都市であるブライラ市と、対岸のトゥルチャ市をつなぐドナウ川にかかる吊橋(1974.30m、中央径間1120m、4車線)、アプローチ高架橋(両端約110m)および接続道路を含む、総延長約23kmの道路・橋梁整備事業で、ルーマニア道路インフラ公社(National Company for the Administration of Road Infrastructure)から、2018年1月にデザインビルド(設計・建設一括請負)で受注したものである。今回は、同プロジェクトのうち、吊橋とアプローチ高架橋および接続道路の一部が先行して開通している。

 IHIグループとしては、同国において初めての受注で、海外大型橋梁建設に携わったこれまでの実績や、長年にわたり培ってきた知見が評価されたものである。同橋は、ルーマニア国内最長、EU域内では3番目の中央径間長を誇る吊橋となる。

 ルーマニアはEU加盟後、国内の道路インフラ整備を最優先事項として取り組んでいる。同プロジェクトも、同国インフラ整備の戦略的プロジェクトとして位置付けられており、EU地域政策予算(EU構造ファンド)※1が活用されている。日本は1990年代から、ルーマニアに対して、技術協力、文化無償資金協力による経済協力を開始し、港湾・道路整備や鉄道建設などに協力してきた。同プロジェクトにおいても、日本の高い技術力をもって、両国の経済関係をより強固なものにできると期待されている。

 ブライラ市とドナウ川を挟む対岸への移動は、100kmを超える迂回路や、船の利用に限られていたが、吊橋の完成によりドナウ川の渡河が容易になり、交通利便性が大幅に改善される。

 また、同プロジェクトの一部であり、本年12月に開通予定の接続道路は、既存の高速道路につながるため、同国最大のコンスタンツァ港とルーマニア東部地域間の貨物流通の効率化に貢献し、EU域内の経済活性化にも寄与することができる。

 IISでは、2020年2月にバングラデシュ首都近郊3橋の第2橋建設・既存橋改修事業を大林組、清水建設、JFEエンジニアリングとのJVで完成させている他、ベトナムの日越友好橋(ニャッタン橋)やトルコのイズミット湾横断橋(オスマン・ガーズィー橋)など、海外においても多数の大型橋梁建設に携わり、現在も複数の建設工事を進行中で、豊富な経験を有している。

※1 EU地域政策予算(EU構造ファンド)
 欧州連合(EU)は、EU加盟国向けの地域政策として、(1)経済・社会の収斂、(2)競争力の向上と雇用創出、(3)欧州における国境を跨る地域間協力を目的とし、3種類の構造ファンドを通して、各国における投資支援を実施している。
(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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