積水化学工業と三井物産ほか5社、陸上養殖事業を展開する「FRDジャパン」の第三者割当増資の引き受けを決定

■水処理技術でサーモントラウトの産業化を支援

 積水化学工業<4204>(東証プライム)は三井物産<8031>(東証プライム)、エア・ウォーター<4088>(東証プライム)、STIフードホールディングス<2932>(東証スタンダード)、長谷工コーポレーション<1808>(東証プライム)、三井住友信託銀行、三菱UFJ銀行とともに、FRDジャパン(本社=埼玉県さいたま市岩槻区、実証実験プラント=千葉県木更津市、事業内容=閉鎖循環式陸上養殖事業:FRD)の第三者割当増資を引き受けることを決定したと発表。

 積水化学工業の環境・ライフラインカンパニーと関係事業会社(積水化学グループ)は、1952年に国内初となる塩化ビニル管を発売以来、住環境、公共インフラ、民間プラント分野における樹脂成形加工のトップランナーとして、高付加価値プラスチック製品を展開してきた。さらに長期ビジョン「Vision 2030」の実現に向けて、「水活用・水循環」を革新領域として定め、水処理技術での課題解決に向けたオープンイノベーションを加速させている。

 FRDは2013年の設立以来、独自開発の閉鎖式陸上養殖システムによるサーモントラウトの養殖・販売を展開している。海水を引かず、バクテリアを利用した高効率の水循環を実現する水処理技術と、豊富な経験に基づく養殖オペレーションや流通ノウハウを組み合わせることで、陸上養殖の産業化にめどを付けた。(7月中に商業プラントを着工、2026年操業開始予定。)

■資本参画の狙い

 今回の資本参画により、双方の技術・事業を融合させることで、水資源、食糧問題あるいは省エネルギーといった多様な社会課題の解決に貢献、サステナブルな社会の実現を目指し、主に次の2つの施策に注力していく。

 (1)FRD陸上養殖事業に向けた積水化学グループの水処理デバイスの展開
 (2)双方の技術・事業シナジーによる次世代水処理デバイスを用いたグローバルでの水処理問題解決

■閉鎖式陸上養殖と事業化の課題

 世界的な人口増加や生活水準の向上を背景に、水産物の需要は年々増加し、養殖の重要性が高まっている。一方、海面での養殖は適地が限られ、供給余力に限界があることから、近年では陸上養殖が注目されている。とりわけ年間30万トン規模の消費量がある養殖サーモン類は、その多くをノルウェーやチリからの空輸に依存しているが、既に需給がひっ迫しているのに加え、電力・飼料高騰などの事業課題に対応すべく、養殖事業各社は生産効率向上に取り組んでいる。

 このような背景の中、FRDの「閉鎖式陸上養殖」は、バクテリアを利用した高度濾過技術により、天然海水を使用せず、飼育水を閉鎖循環させながら水質を維持することが可能。これにより、従来の陸上養殖で高コストの要因となっていた取水時の水温調節費用や、魚病の侵入リスクを大幅に減少させ、場所を選ばす内陸での養殖が可能となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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