日本郵船は船舶間のアンモニア燃料供給設備を日本で初めて開発、毒性の高いアンモニアでも安全に船舶に供給

■脱炭素化に向け安全な燃料供給で貢献

 日本郵船<9101>(東証プライム)は16日、原油や液化天然ガス(LNG)などの液体の荷役機器製造で国内シェアトップのTBグローバルテクノロジーズ(TBG社)と、液体を船舶間で供給するための装置「バンカリングブーム」を、日本で初めてアンモニア燃料向けに共同開発する基本合意書を締結したと発表。

 液体の漏洩を確実に防ぐTBG社の技術を採用し、燃焼しても二酸化炭素(CO2)を排出せず船舶の脱炭素化への貢献が期待される一方で、毒性の高いアンモニアを船舶に供給する際の安全性を大きく高める。

 同社は、22年9月に一般財団法人日本海事協会(ClassNK)から基本設計承認(Approval in Principle、AiP)を取得したアンモニア燃料供給船(Ammonia Bunkering Vessel, ABV)の開発(注)に関するデータや、関連会社のセントラルLNGマリンフューエル株式会社が運航している国内初のLNG燃料供給船「かぐや」から得られた知見などをTBG社に提供する。

 バンカリングブームは鋼管とホースで構成され、燃料供給船から船舶に接続して燃料を供給する装置。鋼管であるため耐久性が高く、スイベルジョイントと呼ばれる関節部により自在に方向を変えられるので操作が容易で、LNG燃料船への燃料供給で既に実用化されている。今回の開発では、自然災害などにより船舶からバンカリングブームを緊急に切り離す際に、中の液体が外に漏れることを防ぐTBG社の技術を採用して、アンモニア燃料供給の最大の課題である漏洩対策に挑む。

 同社は、次世代燃料開発などのグリーンビジネスを通じた、低・脱炭素に向けた新しい価値創造の取り組みを対象としたESGブランド「NYK GREEN EARTH」を展開しており、今回の取り組みもその一環。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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