松田産業は24年3月期2Q累計減益だが計画比上振れ、通期予想を上方修正

 松田産業<7456>(東証プライム)は11月10日の取引時間終了後に24年3月期第2四半期累計連結業績を発表した。前年同期比では販売量減少などで減益だが、期初計画比では価格上昇効果などにより上振れて着地した。そして通期予想を上方修正し、期初計画に対して減益幅が縮小する見込みとした。積極的な事業展開により下期も収益改善基調を期待したい。株価はモミ合いから上放れの形となって年初来高値更新の展開だ。上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。

■24年3月期2Q累計減益だが価格効果で計画超、通期予想を上方修正

 24年3月期第2四半期累計連結業績は売上高が前年同期比1.6%増の1787億80百万円、営業利益が36.1%減の50億81百万円、経常利益が27.7%減の58億76百万円、親会社株主帰属四半期純利益が27.9%減の40億62百万円だった。

 前年比では販売量減少などで減益だが、期初計画(売上高1580億円、営業利益40億円、経常利益41億円、親会社株主帰属四半期純利益28億円)比では価格上昇効果などにより上振れて着地した。なお営業外では持分法投資利益が増加(前年同期は2億96百万円、当期は4億43百万円)し、為替差損益が改善(前年同期は為替差損1億16百万円、当期は為替差益3億55百万円)した。
 
 貴金属関連事業は、売上高が3.3%減の1228億09百万円、セグメント利益(営業利益)が40.6%減の39億23百万円だった。前年同期比では減収減益だった。電子デバイス分野の生産活動低下に伴って貴金属リサイクル取扱量・製品販売量が減少した。ただし計画比では、金価格上昇などによる価格影響、宝飾分野からの貴金属回収量増加などにより、計画を上回る水準で着地した。

 食品関連事業は、売上高が14.2%増の560億10百万円、セグメント利益が13.8%減の11億57百万円だった。前年同期比では、売上面は畜産品や農産品の販売量増加や販売価格上昇により増収だが、利益面は運送費や保管料の増加、仕入価格の上昇などの影響で減益だった。ただし売上高、営業利益とも計画を上回る水準で着地した。

 四半期別に見ると、第1四半期は売上高が885億64百万円で営業利益が24億18百万円、第2四半期は売上高が902億16百万円で営業利益が26億63百万円だった。

 通期の連結業績予想については11月10日付で上方修正して、売上高が23年3月期比2.6%増の3600億円、営業利益が27.6%減の100億円、経常利益が20.5%減の110億円、親会社株主帰属当期純利益が21.6%減の76億円としている。配当予想は据え置いて23年3月期比10円増配の60円(第2四半期末30円、期末30円)としている。連続増配予想で、予想配当性向は20.6%となる。

 期初計画に対して、売上高を300億円、営業利益を10億円、経常利益を17億円、親会社株主帰属当期純利益を11億円、それぞれ上方修正し、期初計画に対して減益幅が縮小する見込みとした。売上高と営業利益が想定を上回り、経常利益と親会社株主帰属当期純利益については営業外損益の改善も寄与する見込みだ。積極的な事業展開により下期も収益改善基調を期待したい。

■株価は上値試す

 株価はモミ合いから上放れの形となって年初来高値更新の展開だ。上方修正を評価して上値を試す展開を期待したい。11月10日の終値は2585円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS291円42銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の60円で算出)は約2.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS3238円61銭で算出)は約0.8倍、そして時価総額は約696億円である。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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