【チャート診断】いすゞの月足チャートが悪化、09年起点の上昇相場終了の可能性も

チャート診断

いすゞ自動車<7202>(東1・100株単位)は8月のチャイナショック安値を下回り安値水準で推移している。中国、東南アジアの景気減速が心配材料となっており月足チャートが悪化している。

<歩み&現在位置>

リーマンショック直前の2007年高値1440円は2013年5月に1836円と上伸し更新した。ただ、その後、2015年3月に再度、1824円と買われたが、高値更新ならず月足二番天井を形成し調整入りしている。当然、優良銘柄の目安となっている2013年5月高値更新は同社の場合、できていない。

8月のチャイナショックでは1294円(8月25日)と一旦は底打ちしたものの戻り鈍く、9月29日に1153.5円まで下げて直近では1285.5円と戻している。年初来高値1824円(3月)と同安値1153.5円(9月)の中間値1488円に対し足元では約13.6%下回っており買方がやや苦しい株価位置となっている。また、現水準は年初来高値に対し7.0合目となっている。

<マーケットの視点>

大型、中小型トラックの大手で海外比率が約6割と高く、特に、東南アジアでの売上の大きいことから中国経済減速に伴うアジア新興国の経済悪化が心配されている。リーマンショックの時、2009年3月期に赤字に落ち込んだ経緯があるだけに経済規模世界第2位中国の経済減速の影響が予想されている。

信用買残の規模そのものはそれほど多くはないが現物を含めると1600円より上にはかなりのシコリが残っているものとみられている。また、月足チャートが二番天井を形成してから日柄がまだ7カ月しか経っておらず日柄面での調整不足も気にされている。

<方向と短期・中期判断>

短期的には全般相場の反発もあって同社株も9月安値(1193.5円)から戻りを試す展開だろう。とくに、2016年3月期は営業利益は微増益見通しで減益ではないし1株利益132.0円に対しPERが9倍台と低く、利回りも2.5%と好いことから1500円へ接近する場面があってもよいだろう。

ただ、中期的には非常に微妙である。一つには、相場基調の強弱を判断する際に重要な目安となる月足24カ月線を8月、9月の終値が下回っていることだ。このまま行くと10月も24カ月線の下に沈んだままとなり2009年3月の176円を起点とした上昇相場が終わった可能性がある。

材料面では中国経済の減速と東南アジア経済への影響、さらに、米国景気に対する懸念も一部、頭をもたげている。仮に、月足チャートの24カ月線割れが、世界経済悪化を読み込んでいるとしたら中長期的には強気になれないところである。

投資スタンスとしては、短期狙いなら小すくい戦法もよいだろうが、現物保有者は月足チャートが悪化していることから持株を軽くすることを考えるところに来ているように思われる。

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