【どう見るこの株】イシンは上場来安値から急反発、連続純益増益予想を見直し割安直近IPO株買いが再燃

 イシン<143A>(東証グロース)は、前日28日に31円高の1203円と急反発して引け、この日前場につけた上場来安値1143円から底上げした。同社株は、今年3月25日に新規株式公開(IPO)されIPO後の初決算となる3月期業績を5月10日に発表しており、今2025年3月期の経常利益が微減益と予想されたことから株価が下ぶれたが、純利益が2ケタ増益と見込まれていることを手掛かりに売られ過ぎとして直近IPO株買いが再燃した。IPO時も、IPO株人気の高いネット関連で資金吸収額が少額にとどまる軽量株としてIPO初日は買い気配のまま推移し2日目に公開価格の2.06倍で初値をつけており、この再現も期待されフォローの材料となっている。

■公共共創事業の営業員を大幅増強し売り上げは17.1%増と高成長

 今2025年3月期業績は、前3月期業績がIPO時予想を上ぶれて着地したあとを受けて売り上げ13億5400万円(前期比5.8%増)、営業利益2億600万円(同2.8%増)、経常利益1億8400万円(同2.0%減)、純利益1億4200万円(同13.2%増)と見込んでいる。同社は、企業の自治体向けのマーケティング・販促及び各種営業業務を支援する公共共創事業と日系大手企業のオープンイノベーションを支援するグローバルイノベーション事業、さらに成長ベンチャー企業のブランディングと採用マーケティングを支援するメディアPR事業の3事業セグメントを展開しており、各セグメントとも好調に推移しており、今期はなかでも公共共創事業で営業員を大幅に増員し、売り上げが、前期の4億7200万円(前々期比13.3%増)に対して17.1%増の5億5300万円と計画し、引き続き外部委託業務の内製化やマーケティング費用の最適化などコスト効率の改善に取り組むことなどが要因となる。

 なお経常利益は、フアンドの為替差益やイグジットを計画に織り込まなかったことで小幅減益となる。

■PER16倍と25日線から12%超の下方かい離を修正しまず3分の1戻し

 株価は、公開価格1080円に対して上場2日目に2234円で初値をつけ、上場3日目にストップ高し4日目に上場来高値2785円まで買い進まれる高人気となった。同高値後は、IPOラッシュのなか下値を探り、東証グロース市場の人気離散と今期経常利益の微減益予想も重なり上場来安値1143円まで調整しダメ押しをした。PERは16.0倍と東証グロース市場の全銘柄平均の48.6倍を大きく下回り、テクニカル的にも25日移動平均線から12.9%のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆しており、まず最高値から最安値への調整幅の3分の1戻しの1690円が当面の戻りメドとして意識されよう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・Media-IR 株式投資情報編集部)

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