アニメ制作市場が初の3000億円突破!過去最高を大幅更新し新たなステージへ

【「アニメ制作市場」動向調査2024:帝国データバンク調べ】

■劇場版ヒット、配信市場拡大が牽引、業界全体が活況に

 アニメ制作市場は2023年に初めて3000億円を突破し、過去最高の売上を記録した。特に劇場版アニメの成功が市場の拡大を後押しし、前年より22.9%増の3390億円に達した。『すずめの戸締まり』をはじめとするヒット作が興行収入を押し上げ、アニメ制作業界全体の売上を大幅に向上させた。

■配信サービスと映画ヒットが市場拡大を後押し

 アニメ市場は、配信サービスの需要も引き続き好調で、2024年も同様の市場規模が予想されている。特に動画配信サービス向けの制作案件が増加し、アニメ業界の成長を支えている。また、過去の名作のリメイクや続編が話題を呼び、新たな収益源として注目されている。

■フリーランスとの取引が8割、インボイス制度の影響に注視

 一方で、アニメ制作現場ではフリーランスとの取引が多く、インボイス制度の導入による影響が懸念されている。2024年7月の調査では、アニメ制作会社の8割がフリーランスと取引していることが判明しており、特に元請やグロス請の制作会社ではその割合が9割に達している。消費税負担の増加などがフリーランスにとって大きな課題となっている。

■高外注比率の制作会社、円安によるコスト増が利益圧迫

 制作会社間での収益格差も拡大している。元請・グロス請では、平均売上高が過去最高を記録し、収益力が大幅に改善された一方で、下請としてアニメ制作に携わる専門スタジオでは、赤字割合が増加している。特に、外注比率が高い制作会社では、円安効果によるコスト増が利益を圧迫している。

■収益還元の仕組みづくりが急務

 アニメ制作業界全体で、劇場版や配信サービス向けの収益が増加する一方で、その利益が現場に還元されない問題が浮上している。特に、低賃金のアニメーターや、IP収入を持たない下請スタジオがコスト増に苦しんでおり、今後の対策が求められる。制作現場のクオリティ維持と将来への投資を可能にするため、収益還元の仕組みづくりが急務となっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■全従業員にAI活用徹底、業務改革を本格化  LINEヤフー<4689>(東証プライム)は7月14…
  2. ■50年以上親しまれたかぜ薬が国内市場から姿を消す?  大正製薬は7月14日、塗るかぜ薬「ヴイック…
  3. ■鈴鹿8耐で新型CBコンセプト登場  ホンダ<7267>(東証プライム)は7月11日、大型ロードス…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る