【マーケットセンサー】トランプ関税「一時停止」の裏側:市場の動揺と今後の展望

■「トランプ・ディール」の罠:投資家心理を揺さぶる市場の動向

 トランプ大統領による相互関税の一部対象品目除外の発表は、市場に一時的な安堵感をもたらした。しかし、この「一時停止」の裏側には、投資家心理を巧みに操る「トランプ・ディール」の戦略が見え隠れする。過去の経緯を振り返れば、トランプ大統領の言動は市場を翻弄し、超高速エレベーター相場と称される乱高下を引き起こしてきた。今回の対象品目除外も、今後の展開を予測するには不確定要素が多く、投資家は依然として慎重な姿勢を維持する必要がある。追加関税の実施が90日間停止したあとどう決着するかは、なおトランプ大統領の鼻息、胸の内次第になるのである。

 このような市場環境下でも、個々の銘柄レベルでは逆行高するものが存在する。特に、ストップ高や年初来高値を更新した銘柄群は、新たな投資テーマを示唆している。10日、11日と連続して年初来高値を更新した40銘柄を精査すると、不動産流動化関連株と消費関連株が浮上する。不動産流動化関連株は、公示地価の上昇や日銀の政策金利引き上げの先送りによるビジネスチャンス拡大が期待される。一方、消費関連株は、円高や現金給付、減税、補正予算編成などの政策による恩恵が期待される。これらの銘柄群は、低PER・PBR、高配当のバリュー株も多く、今後の市場を牽引する可能性を秘めている。

 特に注目されるのは、不動産流動化セクターである。グッドコムアセット<3475>(東証プライム)をはじめとする関連銘柄は、業績好調や記念優待制度などを背景に、株価が大きく上昇している。これらの銘柄は、PERが低く、配当利回りが高いものが多く、割安感が際立つ。また、消費関連株も、スギホールディングス<7649>(東証プライム)やイオン<8267>(東証プライム)など、業績好調な銘柄や事業再編の動きがある銘柄が市場の注目を集めている。これらの銘柄は、PER評価が市場平均を上回るものが多いが、今後の政策動向によっては、さらなる株価上昇も期待できる。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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