ツクツクボウシの「合の手」に規則性を発見―筑波大学が鳴き声の時間差を解明

■オスの鳴き声、高潮音の直後に「合の手」を発する時間差の規則性

 筑波大学の研究チームは、ツクツクボウシのオス同士が互いに鳴き声を発する現象に関する新たな規則性を発見した。オス2匹を近くに置き、2種類の鳴き声を発するタイミングを分析したところ、一方が「オーシンツクツク」と聞こえる高潮音を出した直後に、もう一方が「ジューッ」と聞こえる合の手を発するという明確な時間差のパターンが確認された。実験では23ペア中19ペア(83%)で高潮音と合の手の組み合わせが見られ、合の手を安定して発した個体の96%(23匹中22匹)でこの規則性が認められた。これまで合の手の存在は知られていたものの、そのタイミングについては解明されていなかった。

 研究チームは「ツクツクボウシは相手の鳴き声を効率よく邪魔するように合の手を発している」という仮説を立て、これを個体ごとに検証した。実験データと、合の手が発せられる時刻をランダムにした数値シミュレーションの結果を比較したところ、効率よく相手の高潮音と重複させているという仮説が支持されたオスはわずか8.7%(23匹中2匹)と少数にとどまった。平均して1回の合の手につき2.21個の高潮音が重複していることが確認されたものの、この規則性が果たす具体的な役割については解明されていない。

 今回の研究によって、ツクツクボウシのオスが発する鳴き声に明確な時間差の規則性があることが初めて科学的に証明された。しかし、こうした規則的な鳴き方がツクツクボウシの生態においてどのような役割を果たしているかについては、さらなる検証が必要である。研究チームは、合の手と高潮音の重複によって「近くのオスが嫌がって移動する」「近くのオスがメスを誘引できる確率が下がる」といった現象が生じるかどうかを調査することで、この鳴き声のパターンが縄張り維持や繁殖行動において果たす役割を明らかにしたいとしている。夏の風物詩であるツクツクボウシの鳴き声には、まだ解明されていない生態学的な意味があるようだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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