【マーケットセンサー】米利下げ観測で株高、物価高続く日本は日銀の次の一手に焦点

■パウエル講演と理事発言で緩和期待が強まるも判断はデータ次第

 FRBはジャクソンホール講演で物価鈍化と雇用の減速を踏まえ、政策金利の引き下げに含みを持たせた。理事ウォラー氏も9月会合での0.25%利下げ開始を支持する考えを示し、市場の観測を後押しした。米主要株指数は最高値圏に浮上し、金利低下観測がリスク資産の支えとなっている。

 視線は日銀に移る。全国コアCPIは前年同月比3.1%上昇と目標を上回る伸びを維持しており、市場では追加利上げの可能性を織り込む動きが残る。一方で外部環境の不確実性から、判断はデータ次第とみる見方が優勢である。

 物価面では食品の価格改定が再拡大している。ニチレイフーズは家庭用に続き業務用でも出荷価格の引き上げを公表し、ニップンは家庭用冷凍食品で約5~12%の値上げを案内した。帝国データバンク集計では、8月の値上げ対象は1,010品目に上り、年内は通年で2万品目超が見込まれる。コスト上昇の転嫁は秋以降も断続的に続く公算が大きい。

 個別では、亀田製菓が段階取得差益の発生などを背景に業績を上方修正し、構造対応の進捗を示した。消費の節約志向を映し、PPIHやイオン、マミーマートは株式分割で投資単位を引き下げ個人需要の裾野拡大を狙う。政府の備蓄米放出では小売の調達姿勢が注目材料であり、コメ流通を巡っては木徳神糧が「価格操作否定」の声明を示している。食品の再値上げ局面でも、価格転嫁力と集客力の差が銘柄選別を左右する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■昔ながらの味わいを現代風にアレンジ、全国スーパーなどで展開  第一屋製パン<2215>(東証スタ…
  2.  日清食品ホールディングス<2897>(東証プライム)傘下の日清食品は8月18日、「カップヌードル…
  3. ■世界が注目する学問を豊富な事例とイラストで紹介  学研ホールディングス<9470>(東証プライム…
2025年10月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

ピックアップ記事

  1. ■東京市場、リスクオンとリスクオフが交錯、安全資産関連株に注目  週明けの東京市場は、米国株反発に…
  2. ■公明党離脱ショック一服、臨時国会控え市場は模索  またまた「TACO(トランプはいつも尻込みして…
  3. ■自民党人事でハト派ムード先行、逆張りで妙味狙う投資戦略も  今週の当コラムは、ハト派総裁とタカ派…
  4. ■総裁選関連株が再び脚光、政権交代期待が市場を刺激  今週の最注目銘柄は、さいか屋<8254>(東…
  5. ■金先物関連株、最高値更新で安全資産需要が強まる  日本取引所グループ<8697>は9月24日、今…
  6. ■石破首相辞任表明後も市場は急落回避、投資家の買い意欲継続  「一寸先」は、不確実で予測が難しい。…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る