綿半HDグループの綿半建材が苗木の生産事業を開始、森林資源の持続的な循環を目指す

■地域の知恵と歴史を受け継ぎ、循環型林業をさらに前進

 綿半ホールディングス<3199>(東証プライム)は、グループ会社「綿半建材株式会社」の子会社有限会社須江林産(長野県佐久市)が、森林資源の持続的な循環を目指し、苗木の自社生産事業を開始したと発表した。

 これまで佐久地域をはじめとする東信地域では、森林の主伐・再造林が活発に進められており、植栽を伴う再造林の機会が増加している一方で、人手や資材の確保といった課題も顕在化していた。

・植栽の人手不足と事業継続の課題
 再造林では、植栽作業が主伐作業に比べて多くの人手を必要とする。そのため、植栽に人員を割くと主伐事業を中断せざるを得ない状況が続いていた。これに対し、同社は2023年度より、冬季に閑散期を迎える農事法人に植栽事業を委託。人手不足の解消と、主伐事業の安定的な継続を両立する体制を構築した。

・カラマツ苗木不足と新たな課題
 人員確保の課題が一定程度解決した一方、主伐・再造林の拡大に伴い苗木需要が急激に高まり、安定的な苗木の確保が困難に。加えて、苗木の調達には、長野県の北信・中信地域まで出向く必要があり、輸送面・コスト面でも大きな負担が生じていた。

 このような課題を背景として、同社では苗木の安定確保と供給体制の強化を目的に、苗木の自社生産事業に着手した。2025年度は、カラマツ苗木5,000本の生産を目標に事業を開始しており、翌年度以降は1万本から5万本規模への段階的な拡大を予定。さらに数年以内には、同社が年間で植栽する約10万本の苗木をすべて自社生産に切り替えることを目指としている。また、主伐・再造林の事業量も今後拡大が見込まれており、それに伴い苗木需要も一層増加する見通しである。10万本の生産はあくまで中間目標と位置付け、将来的には年間20万本から30万本規模の生産体制を視野に入れ、さらなる拡充を進めていく方針である。

 これまで須江林産は、森林に関する高度な知識と現場で培ったノウハウを活かし、伐採・植林・下刈り・間伐といった林業経営を担ってきた。2024年の綿半グループ入りを経て、素材丸太の生産から加工・施工・販売に至るまで、グループ内での一貫体制が構築され、森づくりへの取組みを本格化している。

 今回、新たに林業の出発点である「種苗生産」へと参入したことで、「植える・育てる・伐る・使う」という循環型林業のすべての工程を、グループ内で自社完結できる体制が整った。これは、綿半グループが掲げる“持続可能な資源活用”実現に向けた、大きな一歩であるとした。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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