くすりの窓口、26年3月期1Q大幅増益で上振れ期待、全事業の成長とコスト適正化が寄与

 くすりの窓口<5592>(東証グロース)は8月14日に26年3月期第1四半期連結業績を発表した。全事業が成長し、コスト適正化も寄与して大幅増益だった。そして通期2桁増益予想を据え置いた。ストック収益が積み上がる収益構造であり、第1四半期の営業・経常利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は第1四半期業績を好感する形で急伸し、最高値を更新した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。

■26年3月期1Q大幅増益で通期上振れの可能性

 26年3月期第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比10.8%増の29億14百万円、営業利益が64.5%増の6億29百万円、経常利益が69.9%増の6億45百万円、親会社株主帰属四半期純利益が61.4%増の3億86百万円だった。EBITDAは45.7%増の9億75百万円だった。

 全事業が成長し、コスト適正化も寄与して大幅増益だった。なお同社が重要指標と位置付けているストック売上高は15.1%増の19億95百万円、ストック粗利は23.3%増の8億51百万円だった。

 メディア事業は、売上高(これまでメディア事業に含めていたEPARK人間ドックの売上高を当期より未病予防事業として開示するため遡及修正後)が12.1%増の11億57百万円(内訳はストック売上高が18.9%増の8億19百万円、ショット売上高が1.2%減の3億38百万円)で、ストック粗利が44.8%増の3億88百万円だった。施設保有数の増加、処方箋ネット受付数の増加によってストック売上高が拡大し、粗利率の改善も寄与してストック粗利が大幅に増加した。第1四半期のストック粗利は四半期ベースで過去最高となり、ストック粗利率も47.4%で過去最高だった。なお第1四半期の予約数は16.3%増の1613件、第1四半期末の施設保有件数は7.2%増の2万3089施設、お薬手帳アプリダウンロード数は23.3%増の643.9万件となった。

 みんなのお薬箱事業は、売上高が12.1%増の8億72百万円(内訳はストック売上高が16.7%増の7億70百万円、ショット売上高が12.7%減の1億03百万円)で、ストック粗利が44.8%増の3億88百万円だった。ストック粗利は四半期ベースで過去最高だった。仕入サポートサービスは改善途中だが、不動在庫サービスが中堅・大手の取引量増加によって大幅に伸長した。第1四半期の流通額(仕入サポートサービス+不動在庫サービス)は4.7%減の557億63百万円、第1四半期末の施設保有件数は13.3%増の1万8137施設となった。

 基幹システム事業は、売上高が12.2%増の8億25百万円(内訳はストック売上高が9.5%増の3億91百万円、ショット売上高が14.8%増の4億34百万円)で、ストック粗利が4.7%減の1億44百万円だった。新商材開発投資の影響でストック粗利は減少したが、売上面は電子薬歴、レセコン、調剤監査システムの導入が進展して順調だった。第1四半期期末の施設保有数は8.4%増の8100施設(薬局が5347施設、介護が2234施設、医科が519施設)となった。

 通期の連結業績予想は据え置いて、売上高が前期比9.8%増の123億円、営業利益が12.6%増の22億円、経常利益が10.0%増の21億35百万円、親会社株主帰属当期純利益が10.1%増の22億40百万円としている。配当予想は前期比3円増配の30円(期末一括)としている。予想配当性向は15.0%となる。

 2桁増益で増配予想としている。前期の特需(基幹システム事業において補助金対象となった子会社モイネットの電子処方箋管理サービスの新機能が業績に大きく貢献)の反動等を考慮しているが、この影響を除くベースでは15%増収、33%営業増益の見込みとしている。

 第1四半期の進捗率は売上高24%、営業利益29%、経常利益30%、親会社株主帰属当期純利益17%である。ストック収益が積み上がる収益構造であり、第1四半期の営業・経常利益進捗率が高水準であることを勘案すれば、通期会社予想は上振れの可能性が高く、積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。

■株価は最高値更新の展開

 株価は第1四半期業績を好感する形で急伸し、最高値を更新した。利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。8月14日の終値は3870円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS199円59銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の30円で算出)は約0.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS753円05銭で算出)は約5.1倍、そして時価総額は約434億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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