ホンダ、廃自動車廃材から高純度プラスチック抽出技術を開発、リサイクル率99%超へ

■手選別不要な連続プロセス、高純度プラスチックを安定抽出

 ホンダ<7267>(東証プライム)は9月16日、自動車の使用済み部品から発生する廃プラスチックに含まれる金属やゴム、ガラス繊維などの固体異物を効率的に分離する新技術「ケミカルソーティング」を開発したと発表した。同技術は、樹脂を溶媒で溶解し異物を除去する仕組みで、従来の人手や機械による物理的選別に比べ、異物分離率を従来の約80%から99%以上へと向上させることに成功した。これにより抽出される純度99%以上の高品質プラスチックは、再び自動車部材に利用可能な「水平リサイクル」を実現する。

 同社は従来のリサイクル技術が抱えていた課題、すなわち異物サイズごとにフィルターを使い分ける必要性や、頻繁な目詰まりによる処理停止、複合材の分離困難、産業間連携の不足などを指摘してきた。今回の技術では、粗大異物に対しては目詰まりしにくい粗いフィルターを、微小異物には遠心分離機を活用することで、幅広い異物に一貫して対応できる。これによりフィルター交換などのメンテナンス負担が軽減され、大量処理が可能な連続プロセスとしての産業スケール運用を実現した。

 新技術による効果としては、工程や設備投資の削減、歩留まり向上、異物混入防止による品質安定化、低温溶解による樹脂劣化の抑制などが挙げられる。さらにリサイクル樹脂をペレット状で再利用できるため利便性も高い。強化繊維樹脂の再利用により焼却処理が減り、CO2削減にも寄与する。同社は2026年に最大処理能力350トン規模のパイロット設備を導入し、2029年頃の実用化を目指す。今後も「リソースサーキュレーション」を重点に、サステナブルマテリアル100%での製品開発を進めるとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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