メタウォーターとNTT、上下水道保守点検自動化で実証開始、宇都宮市でIoT・AI活用

■通信最適化と生成AIで効率化、2027年3月まで継続

 メタウォーター<9551>(東証プライム)は9月30日、NTT<9432>(東証プライム)、NTT東日本、NTT-MEと共同で、IoTやAIを活用した上下水道施設における保守点検業務の自動化を目的とする実証実験を10月から開始すると発表した。実証の舞台は宇都宮市上下水道局清原水再生センターであり、2027年3月までの実施を予定している。背景には、上下水道事業における自治体の財政難、技術者不足、施設老朽化といった課題がある。政府は2023年6月に「ウォーターPPP」と呼ばれる新たな公民連携方式を示し、2031年までに225件の導入を目標に掲げており、民間企業の役割拡大と広域的な事業運営が求められている。

 今回の実証では、NTTグループが持つ通信環境構築のノウハウと、メタウォーターの情報通信プラットフォーム「WBC」やオペレーションサポートセンターを組み合わせることで、上下水道施設の特徴に即した最適な場内ネットワークの構築を検証する。広大な敷地や高低差のある空間などを考慮し、コスト効率を含めた柔軟な設計を進める方針だ。またネットワークカメラやIoTセンサー、生成AIを活用し、現場作業員の目視点検や記録に依存してきた作業の自動化を試みる。異常が検知されれば警報が発報され、ベテランスタッフの支援を受けて安定運転を確保する体制も導入される。

 実証期間中に得られた知見は、上下水道施設の効率的な運営や人材不足解消に役立てられる見込みである。さらに生成AIの応用は業務フローの再設計や教育分野にも広がる可能性がある。メタウォーターとNTTグループは、こうした技術検証を通じて持続可能な水インフラの実現を目指し、全国の自治体が抱えるインフラ運営課題の解決に成果を還元する構えだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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