【株式市場特集】政策バランスの行方を見極め、金利敏感株と円高メリット株に上昇期待
- 2025/10/6 08:37
- 特集

■自民党人事でハト派ムード先行、逆張りで妙味狙う投資戦略も
今週の当コラムは、ハト派総裁とタカ派総裁のバランス・アンバラン、折り合いが続くなかで金利敏感株と円高メリット株を取り上げることにした。金利敏感株では、すでに中間決算発表に先立って業績を上方修正し増配した地銀株や、経営統合に一歩踏み出した業界再編株も出ている。円高メリット株は、これまで円高場面でやや不完全燃焼相場が目立ち、週明けのきょう6日の為替相場も、円安・ドル高に振れているが、いずれタカ派総裁の強力支援も期待され、新ステージ挑戦となりそうだ。マーケットでは今週週初から固まる自民党の党役員人事や連立内閣の枠組み拡大交渉を手掛かりにハト派総裁歓迎ムードが高まりそうだが、そのスタートダッシュをかいくぐって金利敏感株、円高メリット株に待ち伏せ投資をするのも、一興となるかもしれない。
■早期業績上方修正でPERがわずか3倍のディーブ・バリュー株中心にリターンマッチ
金利敏感の銀行株は、メガバンクも含めて11月中旬から9月中間決算の発表を予定しているが、これに先立って今年9月下旬以降に今期業績を上方修正した銘柄が出ている。発表の時系列的に上げると阿波銀行<8388>(東証プライム)、群馬銀行<8334>(東証プライム)、東邦銀行<8346>(東証プライム)、第四北越フィナンシャルグループ<7327>(東証プライム)、富山第一銀行<7184>(東証プライム)、四国銀行<8387>(東証プライム)と続く。このうち阿波銀行と東邦銀行は中間業績の上方修正で、東邦銀行は中間決算発表時に3月期通期業績を見直す方針である。また群馬銀行と第四北越FGが、業績上方修正とともに今期配当の増配を同時発表した。この発表とともに全行の株価は揃って年初来高値を更新する急伸を演じたが、ほぼ往って来いとなっている。このうち特別利益計上が業績上方修正要因となった四国電力のPERはわずか3.8倍で、残り5行も、PERは9倍から13倍と割安で、PBRも1倍を割る銘柄がほとんどでディープ・バリュー(超割安)株揃いで、リターンマッチが期待される。
このほか北日本銀行<8551>(東証プライム)は、配当方針の変更で今期配当を年間130円に増配し、九州フィナンシャルグループ<7180>(東証プライム)は、1300万株(発行済み株式総数の2.99%)、100億円の自社株式取得を発表した。業界再編銘柄では、千葉銀行<8331>(東証プライム)と千葉興業銀行<8337>(東証プライム)が経営統合で合意し、千葉銀行は合わせて自己株式取得も発表し、八十二銀行<8359>(東証プライム)は、100%子会社の長野銀行(長野県松本市)との吸収合併契約を締結した。
■元祖円高メリット株の電力株はAIデータセンター関連でも最先端
円高メリット株では、元祖円高関連株といわれた電気・ガス株がまず注目で、前週末3日は東証プライム市場の業種別値上がり率ランキングでも電気・ガスは第2位にランクインした。なかでも電力株は、かつての円高不況時には円高差益還元の電気料金引き下げが経済対策の目玉政策になったほどである。その後の東京電力福島原子力発電所のメルトダウン事故では大きなダメージを受けたが、足元ではAIデータセンターの建設ラッシュとともに再び電力需要拡大の最先端株として注目されるようになっている。電力株を低PER順に上げると3.9倍の東北電力<9506>(東証プライム)以下、4倍の中国電力<9504>(東証プライム)、5倍のJ-POWER<9513>(東証プライム)、6倍の北陸電力<9505>(東証プライム)、九州電力<9508>(東証プライム)、四国電力<9507>(東証プライム)、7倍の関西電力<9503>(東証プライム)と続き、配当利回りも東北電力、四国電力、J-POWER、中部電力<9502>(東証プライム)が、3%を上回る。
円高メリット株の定番銘柄のアパレル・家具・雑貨のSPA(製造小売り)株は、残暑などの季節要因で月次売上高が伸び悩み、前週末4日は揃って売られた。ただ株価的には、今年9月以降にAI関連株相場の圏外で大きく調整してきただけに見直し買いの再燃も想定される。アパレルのアンドエスティHD<2685>(東証プライム)、ファーストリテイリング<9983>(東証プライム)、家具のニトリ<9843>(東証プライム)、雑貨の良品計画<7453>(東証プライム)、パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス<7532>(東証プライム)、外食のサイゼリヤ<7581>(東証プライム)、食品の神戸物産<3038>(東証プライム)、ラクト・ジャパン<3139>(東証プライム)、正栄食品<8079>(東証プライム)、100円ショップのキャンドゥ<2698>(東証スタンダード)、ワッツ<2735>(東証スタンダード)、セリア<2782>(東証スタンダード)などの逆張りも一考余地がありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)