【人手不足倒産の動向調査】上半期214件で過去最多更新、道路貨物運送業が急増

■トラック運送業・介護・派遣で人手確保困難、ドライバー不足が経営圧迫

 帝国データバンクは10月6日、2025年度上半期(4~9月)の人手不足倒産が214件に達し、上半期として3年連続で過去最多を更新したと発表した。従業員の退職や採用難、人件費高騰などを要因とする倒産は、前年同期比51件増と急増。とくにトラック運送業を含む「道路貨物運送業」は33件と、前年の19件から大幅に増加した。ドライバー不足が受注減や人件費上昇を招き、経営継続を断念する企業が相次いだ。

 業種別では、介護人材の確保難が続く「老人福祉事業」で11件(前年同期比+3件)、派遣人材不足に直面する「労働者派遣業」で8件(同+5件)など、労働集約型サービス業を中心に増加傾向が顕著となった。帝国データバンクによる「価格転嫁に関する実態調査」では、コスト上昇分を販売価格に反映できた割合を示す「価格転嫁率」が39.4%と2年半ぶりに4割を下回った。中でも道路貨物運送業は28.6%と全業種平均を大きく下回り、原材料やエネルギーなどのコスト高騰を運賃に転嫁できずに収益が圧迫されている。

 また、2025年度の最低賃金は全国加重平均で1121円と、前年度比66円引き上げられ過去最大の上昇幅となった。今後も賃上げ機運が続くなか、賃上げ余力の乏しい中小・小規模事業者では「賃上げ難型」倒産が高水準で推移するおそれがある。帝国データバンクは、人材確保のためには賃上げだけでなく、研修制度や福利厚生の充実など「働く魅力」を高める企業努力が不可欠だとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■7日間摂取試験でBCAAやタウリン増加、血液健全性を維持  吉野家ホールディングス<9861>(…
  2. ■日本味と匂学会で優秀発表賞を受賞、応用研究に期待  花王<4452>(東証プライム)は9月24日…
  3. ■GHG削減価値をデジタル証書化、荷主に割り当て  商船三井<9104>(東証プライム)は9月19…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  2. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…
  3. ■造船業再生へ3500億円投資要望、経済安全保障の要に  日本造船業界は、海上輸送が日本の貿易の9…
  4. ■高市政権が描く成長戦略、戦略投資テーマ株に資金集中  「連立政権トレード」は、早くも第2ラウンド…
  5. ■全市場のわずか1.4%、希少な高配当利回り銘柄が浮上  株式市場では、高配当利回りを持つ10月決…
  6. ■「高市祭り」への期待と警戒交錯、資金は安定配当株へシフト  10月終盤相場は、「高市祭り」か「高…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る