イオン九州、トキハインダストリーを子会社化へ、大分でドミナント強化

■大分23店舗を展開する地場スーパーを取得、九州戦略の一環として地域密着を深化

 イオン九州<2653>(東証スタンダード)は10月21日、大分県を中心にスーパーマーケットを展開するトキハインダストリーの全株式を取得し、子会社化する基本合意書を締結したと発表した。トキハインダストリーは大分県下で23店舗を運営し、地域密着と地産地消を掲げて55周年を迎える老舗企業である。イオン九州は九州・山口エリアで総合スーパーやディスカウントストアなど354店舗を展開しており、今回の子会社化により大分県でのドミナントを強化し、地域住民に対し「より豊かな生活と健康な暮らし」を提供する体制を整える。株式譲渡契約は12月23日締結予定、譲渡実行は2026年1月末を見込む。取得価額は守秘義務により非開示。

 スーパーマーケット業界では、競合企業による出店競争やM&Aを通じた再編が進み、価格志向や健康志向、ローカル志向など消費者の価値観も多様化している。イオン九州は「私たちの『たからもの』九州をもっと―。」をパーパスに掲げ、2024年度からの中期経営計画で「成長領域へのシフト」「商品改革」「資産魅力度向上」「経営効率化」「サステナブル経営推進」を重点施策に据えており、今回の買収はその戦略の一環に位置づけられる。トキハインダストリーの地域での信用と顧客基盤に、イオングループの経営資源とノウハウを組み合わせることで、競争激化する九州市場での企業価値向上を図る方針である。なお、同社はランサムウェア被害からの復旧を進めており、2025年2月期決算は年内確定を予定している。

 あわせてイオン九州は同日、完全子会社のジョイフルサンを2026年3月1日付で吸収合併すると発表した。債務超過解消のため、合併前に最大7億円の債権放棄を実施する計画で、効率的な事業再編と経営基盤の最適化を進める。ジョイフルサンは旧ジョイフルサンアルファを2025年7月に子会社化したもので、衣料・食料・化粧品を中心とする小売事業を手がけていた。同合併は会社法第796条第2項に基づく簡易合併方式で行い、存続会社はイオン九州。名称や資本金、決算期に変更はない。イオン九州は今回の再編により、グループ運営の効率化と成長領域への集中を図り、地域密着型小売ネットワークの深化を通じて九州エリアでの事業基盤強化を推進する。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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