アイ・ピー・エス、JPYCとステーブルコイン事業で提携、フィリピン送金・決済基盤を構築へ

■フィリピンペソ建てコイン共同発行へ、国境を越えた安全・低コスト決済の実現目指す

 アイ・ピー・エス<4390>(東証プライム)は10月28日、連結子会社のInfiniVAN(マニラ)とともに、JPYCとステーブルコイン事業に関する基本合意書を16日に締結したと発表した。両社はフィリピンペソ建てステーブルコインの共同発行・流通およびJPYCが発行する円建てコインのフィリピン国内流通を検討する。国境を越えた安全かつ低コストなデジタル送金・決済インフラの構築を目的とし、フィリピンの金融包摂促進と日本のデジタル資産活用の拡大を目指す。InfiniVANは事業推進を担う新会社設立を準備中である。

 同社グループはこれまで通信や医療分野で、制度の壁を超えたインフラ構築を実現してきた。フィリピン全土の通信網整備や国際海底ケーブル構築を経て、今後は「情報を運ぶインフラ」から「価値を運ぶインフラ」への展開を図る。JPYCは2025年8月に資金移動業者として金融庁登録を受け、同年10月27日から日本初の円建てステーブルコイン「JPYC」を正式発行した。フィリピン中央銀行(BSP)は仮想資産サービス提供者制度を整備しており、両国の制度環境が整ったことから、今回の協業に至った。

 フィリピンでは海外労働者送金が年間約400億ドルに達し、送金手数料の高さが社会課題となっている。新たなステーブルコイン基盤は個人送金のみならず、企業決済や電子商取引など幅広い用途に活用が見込まれる。成人の4割が銀行口座を持たない同国において、金融包摂を進める意義も大きい。アイ・ピー・エスは通信事業で培った制度対応力と信頼性を生かし、JPYCの技術とブロックチェーンの透明性を融合させ、円建てとペソ建ての相互運用を実現するデジタル通貨エコシステムの確立を目指す。なお、2026年3月期業績への影響は軽微としている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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