【TDB景気動向調査】国内景気に持ち直しの動き、株高・設備投資が下支え

■景気DI、5カ月連続改善、農・林・水産が過去最高

 帝国データバンクは11月6日、2025年10月の「TDB景気動向調査(全国)」結果を公表した。景気DI(Diffusion Index)は43.9となり、前月比0.5ポイント上昇し、2020年10月以来5年ぶりに5カ月連続で改善した。新政権への期待感による株高や設備投資、公共工事の発注増などが幅広い業種を下支えし、農・林・水産業や製造業、不動産業など9業界が改善した。特に農・林・水産は51.8と過去最高を記録し、米価や鶏卵価格の高止まりが生産者心理を押し上げた。

■中小企業と地域経済も回復基調、大企業は足踏み

 中小企業・小規模企業もDIが改善し、2025年で最高水準を記録した一方、大企業は6カ月ぶりに悪化した。地域別では10地域中9地域が改善し、近畿や九州で不動産・建設需要やインバウンド効果が寄与した。日経平均株価の5万円超えやデジタル関連投資、自動車生産の堅調さが全体を押し上げたが、原材料や物流コストの増加、人手不足は依然として重荷となっている。

■新政権の政策と外部環境が今後の焦点に

 今後の景気については、高市政権の経済政策、とりわけガソリン暫定税率の廃止など物価高対策や購買力回復策が焦点となる。旅行需要やAI・半導体関連投資が下支えすると見込まれる一方、財政拡大による長期金利上昇や日銀の政策金利判断、為替変動、トランプ関税の影響など不透明要因も残る。景気は一進一退を繰り返しながらも、緩やかな持ち直しが続く見通しである。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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