【編集長の視点】日本ビューホテルはもみ合いも今期利益減益予想を織り込みインバウンド関連人気が再燃余地

編集長の視点

日本ビューホテル<6097>(東2)は、17円安の2029円と続落して始まったあと、1円高と小戻すなど前日終値を挟んでもみ合っている。同社株は、今年4月8日に上場来高値2382円まで買い進まれたあと、今年6月9日開示の4月期決算で、今期経常利益と純利益の減益転換を予想したことが響いて下ぶれ、瞬間的に2000円大台を割り、売り買いが交錯、中段固めが続いている。ただこの減益転換は、積極的な既存ホテル改装による前向きな減益との市場コンセンサスが形成されつつあり、さらにきょう17日午後2時には日本政府観光局から5月分の訪日外国客数の推定値が発表される予定にあることもあり、インバウンド(訪日外国観光客)関連人気が再燃する可能性が強く、下値対応妙味を示唆している。

■浅草ビューホテルのフル稼働が続き平均利用単価も高水準

同社の業績は、前3月期業績が、昨年11月の上方修正値を上ぶれて着地したあと、今3月期業績について売り上げが190億9300万円(前期比5.0%増)、営業利益が9億6100万円(同10.5%増)と続伸すると見込んだものの、経常利益を8億3900万円(同20.7%減)、純利益を4億1300万円(同29.7%減)と減益転換を予想している。アベノミクスの成長戦略の観光立国政策や円安で訪日外国人観光客が過去最高となる好事業環境下、インターネットによる海外からの集客を図り、同社主力の浅草ビューホテルの稼働率が、前期に94.4%とフル稼働となり平均利用単価も高水準をキープし、今期も同様のフル稼働が続くことから売り上げ、営業利益は続伸を予想している。

ただ経常利益、純利益は、集客力をさらに強化するため「日本的」、「江戸情緒」などを訴求するため浅草ビューホテルのフロントを改装、今期は14億円の設備投資を予定、フロント改装工事に伴う撤去費用や、前期に計上した原発事故による風評被害の受取補償金も一巡することから減益転換を予想している。この既存ホテルの改装は、中期経営計画の成長戦略として実施されるもので、同計画の設備投資は、今期分も含めて3年間で総額37億円を予定しており、この攻めの経営策効果で中期計画の最終年度の2018年4月期は、売り上げ206億6000万円、営業利益14億2000万円、経常利益13億4000万円と今期予想比で営業利益は48%増、経常利益は61%増を目指しており、成長戦略に拍車を掛ける。

■3分の1押し水準での三角保ち合いが煮詰まり最高値奪回に再発進

株価は、昨年7月に公開価格2200円で新規株式公開され、公開価格を下回る2150円で初値をつけ、上場来安値1230円まで売られたが、前期業績の上方修正・株主優待制度導入をテコに底上げ、前期第3四半期の好決算と中期経営計画の発表に、中国の春節(旧正月)に伴うインバウンド関連人気が加わって上場来高値2382円までほぼ倍化した。最高値後は、この上昇幅の3分の1押し水準での三角保ち合いを続けてきた。韓国でのMERS(中東呼吸器症候群)の感染拡大で日本への中国の観光客が増加するとの観測も有力となっており、まず公開価格割れの下げ過ぎ訂正で保ち合いを上放れ、最高値奪回の展開も想定される。(本紙編集長・浅妻昭治)

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