Sakana AI、シリーズBで200億円調達、日本発ソブリンAI加速

■計算資源依存に一線、効率的AIで国内産業を支援

 AIに関する研究・開発を行うSakana AIは11月17日、シリーズBラウンドで総額約200億円(1億3500万米ドル)の資金調達を実施したと発表した。資金調達後の企業価値は約4000億円(26億3500万米ドル)となり、累計調達額は約520億円(3億4700万米ドル)に達した。出資には、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)<8306>(東証プライム)、Khosla Ventures、New Enterprise Associates、Lux Capitalなど前回ラウンドに続く投資家に加え、Factorial Funds、Macquarie Capital、Santander Group(そのVCファンドMouro Capitalを通じた出資)、In-Q-Telなどが新たに参加した。投資家からは、日本企業へのAI実装加速や産業変革への期待が寄せられている。国内外の大手金融機関、エネルギー事業者、グローバルVCなど幅広い支援基盤を確保し、持続可能なAI開発と社会実装を進める体制を強化した。

■金融に続き基幹産業へ応用、グローバル展開も本格化

 同社は、大規模計算資源に依存したAI開発競争が激化する中、限られたリソースでも高性能を発揮する「効率的なAI」を追求してきたと説明する。これまで、自己進化型アーキテクチャ「DGM」やプログラム進化システム「ShinkaEvolve」、複数モデル協働による「進化的モデルマージ」「AB-MCTS」、さらにトランスフォーマーを超える次世代構想「CTM」など基礎研究成果を発表してきた。加えて、金融分野でMUFG、大和証券グループと提携し、専門領域の暗黙知を扱うカスタムAIを開発、防衛・インテリジェンス分野でも取り組みを拡大している。国内外で高まるソブリンAI需要に応え、日本の文化・社会規範に最適化した事後学習研究への注力も進めている。労働人口が減少する日本にとって、効率的AIの社会実装は成長源となるとの考えを示す。

 今回調達した資金は、集合知や自己進化を活用したフロンティア研究の加速、日本市場に最適化した基盤モデルの開発強化、防衛・製造など基幹産業への応用拡大、戦略投資・M&Aを含むエコシステム構築に投じる。東京を拠点に世界トップクラスの研究者・エンジニアを拡大し、研究成果の産業還元とグローバル展開を加速する方針だ。同社は、「日本に利益をもたらす持続可能なAIを構築する」というミッションの下、次世代のAIパラダイム創出を目指すとともに、採用活動も強化しているとしている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■金融・医療・公共分野に特化した高精度処理、低コストで安全運用可能  NTT<9432>(東証プラ…
  2. ■ジャイアンツ球場隣接の221邸、シニアの健康・交流を支える新拠点に  フージャースホールディング…
  3. ■IT・スタートアップ中心に若手CEO台頭、経営のスピード化が進展  帝国データバンクは10月14…
2025年11月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

ピックアップ記事

  1. ■気温急低下がシーズンストック相場発進を後押し  今週のコラムでは、バリュー株選好の別の買い切り口…
  2. ■「押し」のAI株より「引き」のバリュー株選好で厳冬関連株の先取り買いも一考余地  「押してだめな…
  3. ■鶏卵高騰・クマ被害・米政策転換、市場が注視する「3素材」  2025年11月、師走相場入りを前に…
  4. ■AI株からバリュー株へ資金移動、巨大テックの勢い一服  「AIの次はバリュー株」と合唱が起こって…
  5. ■日銀トレード再び、不動産株に眠る超割安銘柄  今週の投資コラムは、政策金利据え置きの投資セオリー…
  6. ■日銀据え置きでも冴えぬ不動産株、銀行株が主役に  株価の初期反応が何とも物足りない。10月30日…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る