エスプール、26年11月期2桁増益見通し、障がい者雇用支援好調で農園拡大継続

 エスプール<2471>(東証プライム)は、障がい者雇用支援などのビジネスソリューション事業、およびコールセンター向け派遣などの人材ソリューション事業を展開し、広域行政BPOや環境経営支援などの拡大も推進している。25年11月期は2桁減益だったが、26年11月期は2桁増益予想としている。そして26年11月期に基盤整備を完了し、27年11月期からの再成長を目指すとしている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。株価は反発力の鈍い形だが、高配当利回りも支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。

■ビジネスソリューション事業と人材ソリューション事業を展開

 ビジネスソリューション事業(障がい者雇用支援サービス、広域行政BPOサービス、環境経営支援サービス、通販発送代行サービス、採用支援サービス、販売促進支援サービスなど)、および人材ソリューション事業(コールセンター向け派遣、販売・営業スタッフ派遣、施工管理技士派遣など)を展開し、新規事業の拡大も推進している。

 グループは事業持株会社・新規事業開発の同社、人材派遣・アウトソーシングのエスプール・ヒューマンソリューションズ、障がい者雇用支援のエスプールプラス、広域行政BPOのエスプールグローカル、サステナビリティ経営支援のエスプールブルードットグリーン、通販発送代行のエスプールロジスティクス、販売促進支援のエスプールセールスサポート、採用支援のエスプールリンク、事業承継支援のエスプールブリッジ、サイバーセキュリティ支援のCyberCrewで構成されている。なお26年6月(予定)に同社のプロフェッショナル人材活用サービス事業をエスプールブリッジに承継する。

 25年11月期のセグメント別業績(セグメント間取引および全社費用等調整前)は、ビジネスソリューション事業の売上収益が165億54百万円(障がい者雇用支援90億45百万円、広域行政BPO13億68百万円、環境経営支援19億28百万円、通販発送代行13億31百万円、採用支援8億04百万円、販売促進支援14億14百万円)で営業利益が35億85百万円、人材ソリューション事業の売上収益が95億79百万円(コールセンター75億96百万円、販売支援8億02百万円、その他11億82百万円)で営業利益が8億22百万円だった。

 ESG関連では、25年2月に環境情報開示システムを提供する国際的な非営利団体であるCDPによる評価で最上位のリーダーシップレベルに位置する「A―」の評価を2年連続で獲得した。25年3月に経済産業省および日本健康会議が認定する健康経営優良法人に6年連続で認定された。また福利厚生の充実・活用に注力する法人を認証・表彰する制度「ハタラクエール2025」において「福利厚生推進法人」として認証された。25年12月にはJobRainbowが主催する「D&I AWARD 2025」において最高評価となる「ベストワークプレイス」に初めて認定された。

■ビジネスソリューションは障がい者雇用支援が主力

 ビジネスソリューション事業は障がい者雇用支援を主力として、広域行政BPO、環境経営支援、通販発送代行、アルバイト・パート求人応募受付代行(OMUSUBI)の採用支援、対面型会員獲得・販売促進の販売促進支援なども展開している。

 障がい者雇用支援「わーくはぴねす農園」は、障がい者雇用を希望する企業に対して農園を貸し出し、企業が主に知的障がい者を直接雇用する。障がい者の職業的自立および社会参加の支援を通じて、ノーマライゼーション社会の実現に貢献する事業である。売上高の内訳は運営管理費、設備販売、人材紹介料などである。25年11月期末の農園数は59農園(屋外40、屋内19)で、管理区画は9883区画、就労者数は4942名(定着率92%)となった。期末時点の顧客数は前期末比58社増の722社、通期の設備販売は1308区画だった。なお25年12月には、産直通販サイト「食べチョク」を運営するビビッドガーデンと、障がい者雇用支援サービス「わーくはぴねす農園」において収穫された野菜の販路拡大を目的としたPoC(概念実証)を開始した。販売モデルの構築・検証を行い、野菜の収益化を目指す。

 通販発送代行は抜本的な収益性改善に向けて品川センターの撤退を決定した。採用支援(OMUSUBI)は飲食・小売業を中心に求人応募受付業務を行っている。販売促進支援は24年3月にエスプールセールスサポートがベルシステム24と共同で「リアルプロモーションCRM」サービスの提供を開始した。顧問派遣サービスについては23年1月に企業のプロ人材の活用を支援するサービスの名称を新ブランド「TAKUWIL(タクウィル)」に変更した。

■広域行政BPO

 広域行政BPOは人口10万人以下の地方都市を中心に、隣接する複数の自治体業務を受託する地方自治体向けシェアード型BPOサービスを全国展開している。

 25年6月には山口県宇部市よりリモート窓口およびDXコールセンター業務を受託した。本事業は総務省が主導する「フロントヤード改革モデルプロジェクト」の一環として、広域的な行政改革を推進する先駆的事例に採択されている。25年8月には山口県宇部市BPOセンターを開設した。25年12月には長崎県および長崎県対馬市と立地協定を締結した。全国23か所目で初の離島自治体となる「BPOセンター 対馬」を26年4月(予定)に開設する。

■環境経営支援

 環境経営支援は環境ビジネス分野での新たな収益柱の構築を目指し、20年6月にエコノス<3136>からカーボンオフセット事業を展開するブルードットグリーンの株式を取得して子会社化(22年4月に株式追加取得して完全子会社化、現エスプールブルードットグリーン)した。CO2排出量算定支援から、CDP(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)関連の排出量削減コンサルティング、クレジット仲介支援まで、ワンストップサービスの展開を推進する。

 ゼロカーボンシティ実現に向けた包括的連携協定・未来共創パートナーシップ協定は、24年2月に群馬県富岡市、24年3月に鹿児島県和泊町、24年6月に栃木県さくら市、24年7月に北海道陸別町、24年9月に宮崎県都農町、岐阜県輪之内町、25年2月に奈良県宇陀市、25年3月に北海道上川町、埼玉県児玉郡上里町、大阪府門真市、25年4月に兵庫県朝来市、福岡県宇美町、山梨県上野原市、25年5月に埼玉県宮代町、25年6月に福島県南会津町、25年7月に三重県大紀町と締結して全国29件となった。また25年3月にはゼロカーボンタウンの実現を目指し、沖縄県嘉手納町および地域事業者と共同で設立した嘉手納町脱炭素推進コンソーシアムに参画した。

■人材ソリューション事業はコールセンター派遣が主力

 人材ソリューション事業はコールセンター業務の派遣を主力として、販売・営業スタッフ派遣や施工管理技士派遣なども展開している。

■その他分野

 その他分野では、24年6月に地域中小企業の課題解決に向けて事業承継支援を展開する子会社エスプールブリッジを設立した。24年9月にはエスプールブリッジが地方創生支援の取組として、地域特産品を販売するオフィスコンビニ「ふるさとすたんど」サービスを開始した。24年10月にはサステナビリティ研修ツール「PivottAサステナ」を活用し、ニフコと共同でニフコのサプライチェーンマネジメントにおける実証実験を開始すると発表した。

■中期経営計画(25年11月期~29年11月期)

 25年1月に策定した中期経営計画では最終年度29年11月期の目標値に売上収益360億円、営業利益45億円、営業利益率13.3%、連結配当性向30%以上、高水準のROE維持を掲げている。24年11月期実績を基準とするGAGR(年平均成長率)は売上収益が7.1%、営業利益が10.1%となる。重点戦略として主力事業を軸としたオーガニック成長の継続、グループシナジーによる事業推進、AI/DX活用による収益性および経営効率の向上、次世代を担う多様な人材の育成を掲げている。

 注力事業の戦略として、障がい者雇用支援(売上収益29年11月期目標130億円、GAGR10.6%)については、農園サービスの全国展開(24年11月期53農園、29年11月期目標90農園)を推進し、26年11月期より既存モデルの7大都市圏への拡大、27年11月期より小規模な新型モデルの地方都市への展開を推進する。

 26年1月には「障がい者雇用支援事業の成長戦略」を策定した。重点戦略として農園サービスの持続的成長(既存課題への対応による事業基盤の強化)、事業領域の拡充(障がい者支援の幅を広げる新たなサービス展開)、アカデミア・ディープテック連携(先端技術活用による新たな雇用支援の高度化・開発)を推進し、障がい者本人とその家族のウェルビーイング向上に貢献する。

 広域行政BPO(同29年11月期目標29億円、GAGR14.0%)については、広域行政モデルの確立に向けて、BPOセンターの拡充(24年11月期21拠点、29年11月期目標30拠点)や、広域行政業務比率の引き上げ(24年11月期30%、29年11月期目標70%)を推進する。

 環境経営支援(同29年11月期目標24億円、GAGR8.5%)については、サステナビリティ経営コンサルティングのリーディングカンパニーを目指し、顧客基盤拡大、サービスメニュー拡充による顧客深耕、コミュニティプラットフォーム立ち上げなどを推進する。

 また、人材アウトソーシングサービス(同29年11月期目標110億円、GAGR0.7%)では、フィールドコンサルタントの専門性向上による現場改善機能強化や、派遣スタッフの定着率アップによる顧客満足度向上などにより、高付加価値化を推進する。

 25年2月には「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」をリリースした。25年1月に公表した新中期経営計画の着実な実行を通じて、資本収益性を一層向上することを前提に、効果的なIR活動を推進し、市場評価の向上と資本コストの改善に取り組む。

 なお25年12月1日付で新経営体制へ移行した。浦上壮平氏が代表取締役会長に就任、白川儀一氏が社長執行役員に就任(26年2月26日開催予定の定時株主総会および同総会終了後の取締役会を経て代表取締役社長に就任予定)した。新体制のもと、重点領域におけるサービスの質の向上および新たな事業・サービスの展開を推進するとともに、グループ全体の企業価値向上を目指す。

■26年11月期2桁増益予想

 25年11月期の連結業績(IFRS)は売上収益が前期比1.9%増の260億29百万円、営業利益が13.1%減の24億18百万円、親会社所有者帰属当期純利益が31.2%減の14億44百万円だった。配当は前期と同額の10円(期末一括)とした。配当性向は54.2%となる。

 各利益は計画を下回り減益で着地した。障がい者雇用支援サービスは好調に推移したが、広域行政BPOサービスや人材アウトソーシングの売上高が計画を下回ったほか、通販発送代行サービスにおける品川センター撤退に伴う一過性損失計上なども影響した。

 セグメント別(内部取引、全社費用等調整前)に見ると、ビジネスソリューション事業は売上収益が10.2%増の165億54百万円、営業利益が3.1%減の35億85百万円だった。

 障がい者雇用支援の売上収益は12.6%増の90億45百万円だった。採用・教育が円滑に進み、計画を上回る水準で着地した。設備販売は1308区画、期末時点の顧客数は前期末比58社増の722社だった。農園数は6農園を開設し、期末時点で59農園(屋外40、屋内19)となった。管理区画は9883区画、就労者数は4942名(定着率92%)となった。

 広域行政BPOの売上収益は9.2%減の13億68百万円だった。国策系業務の規模縮小および実施見送りにより、下期の売上高が計画を大幅に下回った。なお収益基盤となる共同BPOの基礎業務は売上の約5割まで増加した。環境経営支援の売上収益は21.1%増の19億28百万円(企業向けが26.2%増の16億52百万円、自治体向けが2.5%減の2億76百万円)だった。企業向けは大幅増収となった一方で、コンサルタントの制約により機会損失が発生した。自治体向けはスポット型案件が多く、案件の継続的な積み上げに苦戦した。

 通販発送代行の売上収益は0.0%増の13億31百万円だった。抜本的な収益改善に向けて品川センターの撤退を決定し、特別損失1億78百万円を計上した。採用支援(OMUSUBI)の売上収益は2.1%増の8億04百万円だった。一部案件における納品遅延により71百万円の売上が次期に繰り越しとなった。なお新サービス(健康診断事務代行)は売上が伸長したが、立ち上げ初期の運営混乱に伴って原価が上昇し、収益を圧迫した。販売促進支援の売上収益は21.2%増の14億14百万円だった。対面型プロモーション業務おいて主要顧客との取引が拡大した。

 人材ソリューション事業は売上収益が9.8%減の95億79百万円、営業利益が5.2%減の8億22百万円だった。コールセンター派遣の売上収益は9.8%減の95億79百万円、販売支援の売上収益は33.4%減の8億02百万円だった。コールセンター派遣は定型業務の縮小により減収だったが、高スキル業務の増加で利益率が改善した。販売支援は体制を縮小した。建設技術者派遣は順調に拡大した。

 全社ベースの業績を四半期別に見ると、第1四半期は売上収益が61億31百万円で営業利益が2億61百万円、第2四半期は売上収益が63億68百万円で営業利益が5億45百万円、第3四半期は売上収益が63億96百万円で営業利益が5億35百万円、第4四半期は売上高が71億34百万円で営業利益が10億77百万円だった。

 26年11月期連結業績(IFRS)予想は売上収益が前期比3.1%増の268億44百万円、営業利益が13.0%増の27億33百万円、親会社所有者帰属当期利益が14.9%増の16億59百万円としている。配当予想は前期と同額の10円(期末一括)としている。予想配当性向は47.2%となる。

 なお半期ベースで見ると上期は売上収益が前年同期比1.0%減の123億69百万円、営業利益が45.5%減の4億39百万円の計画としている。これは環境経営支援の売上が第4四半期偏重のためである。そして四半期別営業利益の計画は第1四半期が2億05百万円の損失、第2四半期が6億44百万円、第3四半期が5億17百万円、第4四半期が17億77百万円としている。

 通期のセグメント別(内部取引、全社費用等調整前)計画は、ビジネスソリューション事業の売上収益が9.5%増の181億24百万円で営業利益が19.8%増の42億95百万円、人材ソリューション事業の売上高が7.1%減の89億円で営業利益が16.1%減の6億90百万円としている。人材ソリューション事業は派遣スタッフ採用強化に向けた投資を実行する。

 売上収益の内訳(計画)については、ビジネスソリューション事業の障がい者雇用支援が10.9%増の100億29百万円、広域行政BPOが15.1%増の15億75百万円(上期6億25百万円、下期9億50百万円で下期偏重)、環境経営支援が0.8%減の19億13百万円(企業向けが1.1%減の16億35百万円、自治体向けが0.5%増の2億78百万円)、通販発送代行が12.2%減の11億69百万円、採用支援(OMUSUBI)が28.0%増の10億30百万円、販売促進支援が13.1%増の16億円、そして人材ソリューション事業のコールセンター派遣が11.8%減の89億円、販売支援が0.2%減の8億円、その他が18.5%増の14億円としている。

 障がい者雇用支援の農園開設は6農園、設備販売は1350区画の計画である。就労者のキャリアアップ支援強化や野菜の活用拡大など農園の価値向上に注力するとともに、事業領域拡大に向けた準備を本格化させる。広域行政BPOは前期の反省を踏まえ、未確定の国策案件を含まずに売上計画を策定した。環境経営支援はコンサル案件の納品時期の影響により、売上が第4四半期に集中(第4四半期の売上高計画11億51百万円)する見込みだ。通販発送代行は低収益率案件の整理により一時的な売上減少を伴うが、品川センター撤退による営業利益約1億50百万円の押し上げ効果などにより大幅な利益改善を見込む。採用支援(OMUSUBI)は前期の期ズレ分約71百万円により大幅増収を見込む。販売促進支援は主要顧客との取引拡大を推進する。コールセンター派遣は需要が堅調な高スキル案件への注力により利益率向上を推進する。販売支援は復活に向けて体制を再構築する。建設技術者派遣は拡大継続に向けて体制を強化する。

 26年11月期は2桁増益予想としている。そして26年11月期に基盤整備を完了し、27年11月期からの再成長を目指すとしている。積極的な事業展開で収益回復基調だろう。

■株価は調整一巡

 株価は反発力の鈍い形だが、高配当利回りも支援材料であり、調整一巡して出直りを期待したい。1月23日の終値は263円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS21円24銭で算出)は約12倍、今期予想配当利回り(会社予想の10円で算出)は約3.8%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS130円77銭で算出)は約2.0倍、そして時価総額は約208億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

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