ファーストコーポレーション、26年5月期増益予想、創業20周年に向け中長期ビジョン策定
- 2026/1/26 07:48
- アナリスト銘柄分析

ファーストコーポレーション<1430>(東証スタンダード)は、造注方式を特徴として分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。創業20周年の31年に向けて中長期ビジョン「First VISION 2031」を策定し、数値目標の着実な達成と資本収益性向上のための成長投資に加え、人的資本への大幅な投資を中心施策として位置付けた。26年5月期は増益予想としている。不動産事業において前期の反動減があるものの、完成工事高が堅調に推移し、請負価格適正化への取り組みなどで売上総利益率が上昇する見込みだ。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。株価は水準を切り上げて25年9月の昨年来高値に接近している。低PERや高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。
■造注方式が特徴のゼネコン
東京圏(1都3県)中心に分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。造注方式による大手マンション・デベロッパーからの特命受注と高利益率、品質へのこだわりによる安心・安全なマンション供給を特徴としている。
造注方式というのは、当社がマンション用地を開発し、マンション・デベロッパーに対して土地・建物を一体とする事業プランを提案し、マンション・デベロッパーから特命で建築を請け負うという受注方式である。入札方式に比べて好条件での請負が可能となる。
品質に関しては「安全と品質の最優先」を掲げて、施工品質管理標準・マニュアル類の整備、階層別研修会の実施、施工検討会による安全で堅実な施工計画の策定、巡回検査による正確性の担保など、良質で均一な品質を維持するための取り組みを推進している。また第三者機関による検査導入については、施主が第三者機関による検査を実施しない場合でも、建造物の安全性を確保するために重要な杭工事、配筋工事、レディーミクストコンクリートを対象として、当社が自前で第三者機関による検査を導入するなど、安心・安全なマンション供給に向けた体制を整備している。
なおM&A・アライアンスでは、23年9月に小林工業(群馬県前橋市)と共同住宅建設に係る請負工事受注に関して業務提携した。また23年12月に吉田組(群馬県桐生市)と共同住宅建設に係る請負工事受注に関して業務提携した。
25年5月期は、建設事業の売上高が226億41百万円で営業利益(全社費用等調整前)が17億40百万円、不動産事業(共同事業収入を含む)の売上高が202億74百万円で営業利益が21億87百万円、その他(設計業務、不動産賃貸、マンション管理運営など)の売上高が2億78百万円で営業利益が2億34百万円の損失だった。不動産売上は大型案件によって変動する可能性がある。建設事業の受注高は8件合計266億29百万円(うち造注が85億13百万円、造注比率32.0%)で、期末受注残高は357億60百万円だった。
■中長期ビジョン「First VISION 2031」
創業20周年の31年に向けて26年1月に中長期ビジョン「First VISION 2031」を策定した。数値目標の着実な達成と資本収益性向上のための成長投資に加え、人的資本への大幅な投資を中心施策として位置付けた。
数値目標には、フェーズ1(26年5月期~28年5月期)の最終年度28年5月期の売上高500億円、営業利益35億円、フェーズ2(29年5月期~31年5月期)の最終年度31年5月期の売上高1000億円、営業利益率8%以上を掲げた。売上高1000億円を目指すうえで、建築現場件数を増やすために人員強化が必須となるため、25年5月期末実績161名(内訳は工事部65名、本社96名)から、31年5月期末の従業員数300名(内訳は工事部150名、本社150名)以上の体制を目指し、採用(新卒・中途)と人財育成を強化する。
なおフェーズ1の最終年度28年5月期の詳細目標は、売上高500億円、売上総利益60億円、売上総利益率12.0%、営業利益35億円、経常利益32億円、親会社株主帰属当期純利益23億円で、売上高の内訳は完成工事高250億円、不動産売上高210億円、共同事業収入30億円、その他売上10億円、売上総利益の内訳は完成工事総利益27億50百万円、不動産売上総利益24億円、共同事業収入総利益7億50百万円、その他売上総利益1億円、売上総利益率の内訳は完成工事総利益率11.0%、不動産売上総利益率11.4%、共同事業収入総利益率25.0%、その他売上総利益率10.0%としている。
基本戦略として建設事業と不動産事業の両輪で着実な成長を目指す。完成工事高については足元の人材確保を優先し、キャパシティを現状維持と想定している。完成工事総利益率については造注方式のさらなる追求などにより改善を推進し、利益拡大を目指す。不動産売上については安定的な事業用地の確保により毎期の増益を目指すとともに、事業主として自社開発物件を取り扱い、中長期的な不動産投資を推進する。共同事業収入については竣工後の着実な収益となるストックビジネスのため、中長期的に共同事業比率を高めてさらなる収益拡大を図る。
サステナビリティ戦略では人的資本投資に関する指標および目標(31年5月期)として、資格取得率(1級建築士・1級建築施工管理技士)60.0%、資格取得率(宅地建物取引士)60.0%、離職率5.5%、女性在籍率16.8%などを掲げた。
■26年5月期増益予想
26年5月期の連結業績予想は、売上高が前期比7.4%減の400億円、営業利益が8.5%増の28億円、経常利益が2.1%増の25億30百万円、親会社株主帰属当期純利益が4.8%増の17億50百万円としている。全社ベースの受注高は5件合計200億円の計画としている。
中間期の連結業績は売上高が前年同期比44.0%減の152億58百万円、営業利益が37.7%減の9億73百万円、経常利益が39.8%減の9億12百万円、親会社株主帰属中間純利益が39.9%減の6億15百万円だった。土地売却の減少や共同事業収入の前年同期の大規模案件の反動で減収減益だった。ただし完成工事高は堅調に推移し、完成工事総利益率も大幅改善した。
完成工事高は14.4%増の129億12百万円、完成工事総利益は97.5%増の15億39百万円、完成工事総利益率は5.0ポイント上昇して11.9%、不動産売上高は86.3%減の18億75百万円、不動産売上総利益は79.6%減の1億89百万円、不動産売上総利益率は3.3ポイント上昇して10.1%、共同事業収入は83.7%減の3億48百万円、共同事業収入総利益は95.3%減の31百万円、共同事業収入総利益率は22.0ポイント低下して9.0%、その他の売上高は5.2%減の1億21百万円、その他の売上高総利益は24百万円の損失(前年同期は18百万円の損失)だった。
なお報告セグメントベースでは、建設事業は売上高が14.4%増の129億12百万円で営業利益(全社費用等調整前)が101.6%増の14億99百万円、不動産事業は売上高が85.9%減の22億24百万円で営業利益が96.0%減の57百万円だった。
全社ベースの業績を四半期別にみると、第1四半期は売上高が74億21百万円で営業利益が4億30百万円、第2四半期は売上高が78億37百万円で営業利益が5億43百万円だった。
通期の連結業績予想は据え置いて、減収ながら増益予想としている。不動産事業の反動減があるものの、完成工事高が堅調に推移し、請負価格適正化への取り組みなどで完成工事売上総利益率が上昇する。また不動産事業では下期に土地売却を予定している。積極的な事業展開で収益拡大基調だろう。
■株主還元策
株主還元については基本方針を連結配当性向30%以上としている。この基本方針に基づいて26年5月期の配当予想は前期比2円増配の44円(期末一括)としている。連続増配で予想配当性向は30.1%となる。また創業20周年の31年に向けて連結配当性向40%を一つの目安として検討する。
株主優待制度(詳細は会社HP参照)については、毎年11月末現在の株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じてクオカードを贈呈している。
■株価は上値試す
株価は水準を切り上げて25年9月の昨年来高値に接近している。低PERや高配当利回りなど指標面の割安感も評価材料であり、利益確定売りをこなしながら上値を試す展開を期待したい。1月23日の終値は1033円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS145円89銭で算出)は約7倍、今期予想配当利回り(会社予想の44円で算出)は約4.3%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS816円73銭で算出)は約1.3倍、そして時価総額は約138億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)





















