【株式評論家の視点】大冷は「骨なし魚らくクックシリーズ」好調、PER9倍台、利回り2.8%で割安

<銘柄の見所>

大冷<2883>(東2)は、昨年12月18日に東証2部市場に上場した。「安全と安心を優先に顧客に満足と感動を提供する。変化に対応する改革と創造力のある提案を行う。食文化の未来に発展する提案と社会への貢献」の経営理念を下に、業務用冷凍食品の企画・開発・販売を行っている。

1998年には魚の骨を取り除いた「骨なし魚」シリーズを開発。また2005年には、原料の水揚げから生産・製造工程までの履歴を公開する「骨なし魚トレーサビリティシステム」を業界に先駆けて導入。2009年には解凍しないでそのまま調理ができる「楽らくクックシリーズ」など、冷凍食品の常識を変える新しい商品開発や品質管理システム作りに取り組んでいる。

足元の業績は、今3月期第2四半期売上高が137億0300万円、営業利益が9億0500万円、経常利益が9億0700万円、純利益が6億4900万円に着地。販売価格の値上げや原価の低減についての交渉など極め細やかな営業を実施して粗利とシェア確保に努めた結果、骨なし魚事業において、「骨なし魚らくクックシリーズ」の販売が好調に推移したほか、ミート事業において、「楽らく匠味シリーズ」の販売も好調に推移。

損益面では、原価低減に加え運賃等の経費削減に取り組んでいるが、価格競争による粗利率は低下、四半期純利益は役員退職慰労引当金制度廃止に伴い戻入をした。

通期業績予想は、売上高266億5000万円(前期比1.2%増)、営業利益16億6800万円(同0.5%増)、経常利益16億6400万円(同0.9%増)、純利益11億1500万円(同24.4%増)を見込む。年間配当は期末一括50円を予定している。

骨なし魚事業において、仕入先との価格交渉強化によるコストアップの抑え込みや原材料の安定確保を図るとともに、特許取得をベースといた差別化商品の投入によりシェアの維持拡大に取り組んでいる。ミート事業において、売上が好調な「楽らく匠味シリーズ」の更なる販売強化に取り組んでいる。

また、その他事業においても、エンドユーザーのニーズを満たす商品へのリニューアル推進に取り組んでおり、通期計画は達成できる見通し。

株価は、昨年12月18日に初値1680円をつけた後、1月5日に高値1816円と上昇。その後、モミ合いとなっている。

同社の商品は、百貨店、スーパー、医療施設など、さまざまな分野の企業で取り扱っているが、加工技術を生かし肉製品などの品ぞろえも増やすもようで、中長期的な成長が期待される。ディフェンシブ性が高く2ケタ増益が見込まれるほか、今期予想PER9倍台と割安感があり、配当利回り2.8%と利回り妙味もソコソコある。公開価格の1800円を割り込み下押す場面には買いが入っており、ここからの押し目は注目されそうだ。(株式評論家・信濃川)

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