AOI TYO HoldingsはAOI.Proとティー・ワイ・オーが17年1月経営統合した持株会社

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 AOI TYO Holdings<3975>(東1)は、AOI.Proとティー・ワイ・オーが17年1月経営統合して設立した持株会社である。中期ビジョンでは、経営統合によるシナジー効果や、今後の成長ドライバーと位置付ける体験設計事業の拡大などで、21年12月期ROE12%以上を目指す方針を掲げた。

■TV-CM制作大手の2社が経営統合

 TV-CM制作の大手であるAOI.Proとティー・ワイ・オーが17年1月経営統合して設立した持株会社である。持株会社が17年1月新規上場した。

■21年12月期ROE12%以上目標

 16年12月発表した「VISION2021」では、ビジョンに「感動創出企業」を掲げ、グループの事業ドメインを、感動を生みだすストーリーを設計する「体験設計」、顧客の心を動かしアクションに繋がるコンテンツを製作する「コンテンツ制作」、効果の可視化と収集・蓄積したデータを分析・活用する「効果測定・分析」として、3つのドメインを軸にサイクルを回すとした。

 事業戦略の基本方針は、強みを持つ国内広告映像制作事業においては安定成長を図る。統合シナジーを発揮し、業務の選別や効率化も推進して、プリントレス(17年度から数年間で放送局に対するTVCM素材の提供方法がオンラインでのデータ送稿へ移行するため、従来は記憶媒体へ複製して納品していた売上・利益が無くなる見込み)の時代においても利益を確保できる筋肉質の組織を作る。

 今後の成長ドライバーと位置付ける体験設計事業においては、積極的な投資を推進する。国内広告映像制作で培った技術・知見・リソースを活用し、あらゆるコンテンツを制作するほか、データの収集・分析、データ分析を反映させたストーリー設計のサイクルを回して付加価値を高める。また市場が拡大しているアジアにおいては、中国および東南アジアを軸に事業拡大を図る。

 コーポレート部門の基本方針は、経費削減、機能集約、仕組み統合といった統合シナジーを早期に顕現化させることとした。経費削減では共通経費の縮小・適正化、拠点統廃合による賃借料削減、什器・備品費用の削減などを見込んでいる。機能集約化では生産性を高めるため、業務標準化による効率化、人材の再配置・外部化による人員適正化を検討する。仕組み統合では人事制度の統合、福利厚生施策・制度の統廃合、システム統合によって効率化を図る。

 目標数値としては21年12月期ROE12%以上、EBITDA80億円を掲げた。また配当政策の目標は連結配当性向30%以上、DOE(純資産配当率)4%目途とした。

■中期的にシナジー効果で収益拡大期待

 広告業界においては、TV-CMのような従来型のメディアによる広告だけでなく、ネット広告市場の拡大、さらにイベントやツアーといった体験型など、広告手法の多様化が進展している。両社の持つ強み・ノウハウで事業環境の変化に対応し、経営統合によるシナジー効果も寄与して中期的に収益拡大が期待される。(日本インタビュ新聞アナリスト水田雅展)

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