【編集長の視点】菊水HDは続落も業績上方修正・連続の最高純益更新を手掛かりに下げ渋る

菊水ホールディングス<6912>(東証スタンダード)は、前日8日に4円安の1234円と3営業日続落して引けた。日経平均株価が105円安、東証スタンダード市場指数が6.99ポイント安とそれぞれ続落したことが波及して売り増勢となった。ただこの日の取引時間中の安値1221円からは小戻しており、11月6日日につけた直近安値1216円を前に下げ渋る動きもみせた。同社株は、10月30日に今2024年3月期業績の上方修正を発表し、株価は材料出尽くし感を強めて売られてきたが、上方修正された今期純利益が、前期の過去最高を連続更新することを見直し下げ過ぎ修正期待の打診買いが交錯した。ヒストリカル的にも、昨年10月、今年2月の前期業績の2回の上方修正ではストップ高を演じるなど株価が急伸しており、連想されている。

■EV用のパワー半導体向けなどが順調に推移し新製品シリーズの販促も寄与

同社の今3月期業績は、期初予想より売り上げを2億7000万円、営業利益を1億3000万円、経常利益を1億7000万円、純利益を7000万円それぞれ引き上げ、売り上げ123億7000万円(前期比2.5%増)、営業利益16億8000万円(同9.7%増)、経常利益17億2000万円(同12.5%増)、純利益11億5000万円(同7.2%増)と見込み、純利益は、前期の過去最高(10億7200万円)を連続更新する。電子計測器群では、中国の電池関連市場の設備投資抑制の影響はあったものの、安全関連試験機器が、EV(電気自動車)用バッテリやパワー半導体向けの耐電圧・絶縁抵抗試験機として順調に推移し、電源機器群では直流電源、交流電源が、宇宙産業市場・車載関連市場・エネルギー関連市場向けに好調に推移し、新製品の双方向大容量直流電源PXBシリーズの販売促進活動を積極化させたことなどが要因となった。

この通期業績の上方修正幅は、同時発表の今期第2四半期(2023年4月~9月期、2Q)累計業績が、期初予想を上ぶれて着地した上ぶれ幅をそのまま通期業績に上乗せしたもので、今後の下期以降の業績動向次第ではさらに今期通期業績の再上ぶれの可能性も残る。前期業績も、2Q決算発表時の昨年10月に上方修正した業績を期末の今年2月に再上方修正し配当も増配しており、再現期待につながっている。

■25日線に上値を抑えられるがPER8倍、PBR0.8倍と割り負け顕著

株価は、昨年10月の前期業績の上方修正ではストップ高し、今年2月の再上方修正・増配では年初来高値1417円まで買い進まれるなど株価の業績感応度は高い。今期業績の続伸予想でも1378円、今期第1四半期の好決算でも1398円と上値を窺ったが、その後、25日線が上値抵抗線となり、今期業績の上方修正では材料出尽くし感を強め1216円まで調整した。PERは8.9倍、PBRは0.85倍、配当利回りは3.07%と割り負けており、上値抵抗線を上抜いて勢いをつけて年初来高値1417円奪回に再発進しよう。(情報提供:日本インタビュ新聞・株式投資情報編集長=浅妻昭治)

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