【編集長の視点】シノケンGは5連騰で昨年来高値肉薄、連続の最高益業績・増配をテコに内需系割安株買いが増勢

 シノケングループ<シノケンG、8909>(JQS)は、前日15日に35円高の3475円と5営業日続伸して引け、今年3月7日につけた昨年来高値3550円に肉薄した。今2018年12月期業績が、7期連続の過去最高利益更新と予想され、配当も、普通配当ベースでこの6年間で17.1倍の大幅増配を見込んでいることを評価して内需系の割安株買いが増勢となっている。インドネシアでのゼネコン事業強化や、国内初の機関投資家向けのアパートファンド「HTT-1号ファンド」の組成など新事業分野に積極的にチャレンジしていることも、成長可能性を高めるとしてフォローの材料視されている。

■投資用不動産販売が好調に推移し国内初のアパートファンド組成などの新事業も寄与

 同社の今12月期業績は、売り上げ1200億円(前期比13.3%増)、営業利益135億円(同4.5%増)、経常利益132億円(同8.2%増)、純利益92億円(同8.2%増)と予想され、前期の6期連続の過去最高利益をさらに更新する。投資家の投資用不動産への投資意欲が依然として旺盛な事業環境下、高騰が続いた材料費も落ち着いてきており、不動産販売事業では、新築のアパート・マンションのほか、中古物件もリノベーションする「リノベ×投資用マンション」事業や、自社空テナントを民泊物件とする「リノベ×民泊」事業を開拓するなど多角化・多様化させて販売戸数を伸ばし、つれて不動産管理事業でも、前期年間平均入居率が97.97%とほぼ満室状態となった賃貸管理戸数も拡大し、介護事業でも、サービス付き高齢者住宅やグループホームの新規オープン、高水準の入居率をキープすることなどが要因となる。

 新規事業分野では、「HTT-1号ファンド」を総額30億円で組成させるほか、仮想通貨「シノケンコイン」を発行してオーナー・入居者向けにスマートフォンアプリを開発して顧客満足度を向上させ、インドネシアでは、地場ゼネコンのムスティカ社を連結子会社化し、すでに同国に進出している子会社の小川建設と協業してゼネコン事業を強化することなどが寄与する。

 配当は、年間60円(前期実績は普通配当45円、特別配当5円、記念配当5円の合計の55円)を予定し、普通配当としては2012年12月期の3.5円に対して6年間で17.1倍の連続配当となる。さらに2016年12月期から継続している特別配当スキームも実施し、今期の経常利益が、期初予想の132億円を10%上回った場合(145億2000万円)は6円、同じく20%上回った場合(158億4000万円)は12円のそれぞれ特別配当を上乗せし、年間配当は、66円~72円の大幅増配の意向である。

■PERは6倍台、配当利回りも2.1%となお割安で証券会社の目標株価引き上げもオン

 株価は、昨年12月の特別配当増配で窓を開けて2552円高値まで急伸し、さらに仮想通貨発行決定、期末の記念増配発表が続いて2529円で配当権利を落とした。落ち後安値2434円からは2975円高値まで反発したが、世界同時株安が響いて2371円安値へ再調整した。同安値からは、前期業績の上ぶれ着地、期末特別配当の再増配、今期業績の連続最高更新予想、中期経営計画の目標業績数値の上方修正、次いで証券会社の目標株価引き上げと好材料が続き、昨年来高値3550円まで買い進まれた。足元は、同高値水準でスピード調整中だが、PERは6倍台、配当利回りも、特別配当スキーム適用で年間上限72円となった場合は2.07%となお割安となり、昨年来高値抜けから上値チャレンジを強めよう。(本紙編集長・浅妻昭治)

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