テラは免疫細胞用凍結保存液の製造、販売に関する独占的通常実施権を取得

IR企業情報

■DMSOを用いずに細胞をより安全に凍結保存することが可能

 テラ<2191>(JQS)は、再生医療・細胞医療の要素技術である免疫細胞用凍結保存液の製造、販売に関する独占的通常実施権を取得した。

 同社は、子会社であるテラファーマに再実施権を許諾し、樹状細胞ワクチン「バクセル(R)」を搬送する際に用いる凍結保存液の実用化を図り、「バクセル(R)」の薬事承認取得に向けた準備を加速させ、治験届を平成27年内に提出する予定。

 今回、独占的通常実施権を取得した技術は、免疫細胞の機能を保ったまま高い細胞生存率で長期間安定的に凍結できる保存技術(特許出願中)である。免疫細胞の凍結保存は、凍結時の結晶化により細胞を傷つける恐れがあるため、結晶を作らないための保存液が必要である。細胞を保存する際に用いられる保存液には、一般的に細胞及び人体に対して毒性があるジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide、以下「DMSO」)と呼ばれる物質が含まれるため、無菌的に洗浄するかあるいは毒性レベル以下の濃度まで大幅に希釈する必要があった。本技術を用いた保存液は、DMSOを用いずに細胞をより安全に凍結保存することが可能である。また、凍結細胞の解凍後における樹状細胞ワクチン「バクセル(R)」の細胞生存率を評価した試験では、DMSOを用いた保存液を使用した場合と比較し、十分な細胞傷害性T細胞誘導能を保持したまま、より高い細胞生存率を示すことが分かっている。

 同社は、平成26年1月にテラファーマを設立し、樹状細胞ワクチン「バクセル(R)」の薬事承認取得に向けた取り組みを行っている。センター化した細胞加工施設において患者自身の細胞を用いて調製した樹状細胞ワクチンを患者が受診する各医療機関に搬送し、そのまま投与することを想定している。そのため、樹状細胞の機能を長期間、保存前の状態から減弱させず一定水準に維持するために凍結保存し、安定して管理及び搬送することが必要であった。本保存液を用いることにより、樹状細胞の機能を維持したまま搬送し長期保存が可能となる。また、DMSOを除去する特別な設備や作業が必要なくなり、作業プロセスの大幅な短縮、治療行為の簡素化が実現される。
 さらに、現連携医療機関における樹状細胞ワクチン「バクセル(R)」の搬送において、本保存液の導入が可能となれば、今後更なる契約医療機関数の拡大が期待される。また、臨床用の組織・細胞の凍結保存及び搬送を行う外部の医療機関・研究機関・企業等へ販売することも検討しており、iPS細胞等を用いた再生医療や不妊治療等における臨床用途での活用も視野に入れている。

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■東京大学発スタートアップが開発、19自由度のヒューマノイドロボット  東京大学発スタートアップH…
  2. ■売却面積は約1.6倍に、総額1,785億円超の譲渡価額  東京商工リサーチは6月30日、2024…
  3. ■従来の検索では見つけられなかった本との出会いを創出  富士通<6702>(東証プライム)傘下の富…
2025年8月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

ピックアップ記事

  1. ■株主還元強化が市場の安心材料に  東京エレクトロン<8035>は8月1日、2025年3月期の業績…
  2. ■市場の霧が晴れ始めた、個別銘柄の好調が投資家を惹きつける  前週31日の植田和男日銀総裁の記者会…
  3. ■利上げか、現状維持か?日銀総裁の決断で明暗分かれる8月相場  日銀の金融政策を巡る不確実性が続く…
  4. ■選挙惨敗の石破首相に退陣要求、政局混迷の行方  まるで狂言の『乳切木』(ちぎりき)を観るようであ…
  5. ■九州地盤銘柄に割安感、福証単独上場企業にも注目集まる  東京エレクトロンやアドバンテストなどの半…
  6. ■参院選で与党過半数割れ、石破政権の行方不透明に  7月20日投開票の参議院議員選挙は、大手メディ…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る