Eストアーは調整一巡感、19年3月期は積極的な先行投資負担で減益予想だが中期成長に期待

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 Eストアー<4304>(JQ)はECの総合支援会社である。中期成長に向けてマーケティングサービスに経営資源を傾注している。18年3月期は微減益予想だったが、一転して大幅増益での着地となった。19年3月期は積極的な先行投資負担で減益予想である。中期成長に期待したい。株価は調整一巡感を強めている。

■ECの総合支援会社

 ECの総合支援会社である。ヤフーショッピングや楽天市場といったECモール店ではなく、企業のEC本店向けを中心に販売・決済・顧客管理などのECサイトシステムをASP型で提供し、制作・運営代行や各種マーケティング代行サービスまで総合的に展開している。ワンストップサービスが強みである。

 18年3月期の売上高構成比は、ストック(ECシステム月額利用料)37%、フロウ(店舗売上に連動する受注・決済手数料)40%、マーケティングサービス(店舗販促支援アウトソーシングに係る役務提供料)22%、メディア・その他が1%だった。

■中期成長戦略でマーケティングサービスに経営資源を傾注

 中期成長戦略として、顧客EC店舗の販促を支援するマーケティングサービスに経営資源を傾注させ、顧客EC店舗の業績拡大に努めている。さらに新たな収益ブロックとして、ABテスト「Estore COMPARE」やメールCRM「Estore QUERY」など、マーケティングシステム(バックストアー群)を本格化させる方針だ。

 また「販売システム支援業者」から「EC総合支援業者」への転換を目指し、販売システムの新規顧客獲得を、ECでのポテンシャルが見込める優良顧客に、戦略的に偏重させている。このため販売システムは顧客店舗数が減少し、ストックの売上構成比も低下傾向である。

 ただし総合支援ソリューションも奏功して、販売システムの受注単価は上昇傾向である。18年3月期末のECシステム「ショップサーブ」顧客店舗数は1万502店舗で17年3月期末比1088店舗減少したが、1顧客店舗当たり業績は760万円で10.5%成長した

■18年3月期は大幅増益で着地、19年3月期は先行投資で減益予想

 18年3月期の非連結業績は売上高が17年3月期比5.6%増の50億44百万円、営業利益が36.1%増の5億54百万円、経常利益が44.9%増の5億82百万円、純利益が44.1%増の4億11百万円だった。マーケティングサービスが計画超の大幅伸長となり、微減益予想から一転して大幅増益での着地となった。配当は4円増配の年間28円(期末一括)とした。配当性向は35.1%である。

 ストック売上は顧客店舗数を戦略的に減少させているため5.7%減の18億55百万円だった。フロウ売上は受注単価上昇などで2.9%増の20億24百万円だった。マーケティングサービス売上は受託受注が増加して43.6%増の11億31百万円と大幅伸長した。非注力分野のメディア・その他は41.6%減の31百万円だった。

 売上総利益率は28.7%で3.7ポイント低下した。原価率の高いマーケティングサービス売上の構成比上昇が影響した。販管費比率は17.7%で6.2ポイント低下した。人件費、採用費、広告宣伝費が計画を下回った。

 19年3月期の非連結業績予想は売上高が18年3月期比9.8%増の55億40百万円、営業利益が4.1%減の5億31百万円、経常利益が8.7%減の5億31百万円、純利益が10.7%減の3億67百万円としている。なお配当予想は未定としている。

 マーケティングサービスの利益率改善などを推進するが、マーケティングシステムの道筋づくりなど積極的な先行投資負担で減益予想としている。中期成長に期待したい。

■株価は調整一巡感

 株価は1月高値1312円から反落して上値を切り下げる形だったが、900円近辺で調整一巡感を強めている。

 5月16日の終値945円を指標面で見ると、今期予想PER(予想EPSは純利益予想と自己株式除く発行済株式総数から算出した71円10銭を利用)は約13倍で、前期実績PBR(前期実績BPS283円36銭で算出)は約3.3倍、時価総額は約98億円である。

 週足チャートで見ると52週移動平均線がサポートラインだ。調整一巡して反発を期待したい。(日本インタビュ新聞社アナリスト水田雅展)

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