【株式評論家の視点】テラの第2四半期赤字幅は計画から縮小、26週移動平均線を突破出来るか

株式評論家の視点

 テラ<2191>(JQS)は、「医療を創る」をミッションに掲げ、「がん」「免疫」「細胞」をキーワードに革新的な医療技術・サービスを開発・提供することで、がんで悩んでいる皆様に貢献し、企業価値の増大を目指している。

 同社グループは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」及び「再生医療等の安全性の確保等に関する法律(再生医療等安全性確保法)を遵守し、医薬品事業で連結子会社のテラファーマが、公立大学法人 和歌山県立医科大学が実施する膵臓がんに対する樹状細胞ワクチン(TLPO-001)の医師主導治験への治験製品を提供しているが、現在、治験第Ⅰ相部分(安全性試験)は順調に進捗しており、2019年3月期間中に第Ⅱ/Ⅲ相部分(検証試験)に移行する予定。


 細胞医療事業では、再生医療等安全性確保法に基づく特定細胞加工製造許可を取得して細胞加工の製造開発受託事業に参入するため、新たな細胞培養加工施設の整備を開始し、拠点を関西圏にする。本年7月に特定細胞加工物製造の許可申請、許可取得まで約6か月を要する見込み。同施設では、再生医療等安全性確保法に基づいて、主にがんに対する免疫細胞治療に係る特定細胞加工物の製造開発の受託を見込むほか、再生・細胞医療に取り組む医療機関や研究機関から、臨床使用を用途とする細胞だけでなく、臨床研究に用いる細胞の製造も受託する予定。

 10月15日大引け後に発表した今18年12月期第2四半期決算は、売上高1億9200万円(前年同期比69.9%減)、営業損益4億1000万円の赤字(同1億0100万円の赤字)、経常損益4億7700円の赤字(同1億2500万円の赤字)、最終損益4億8800万円の赤字(同3億1800万円の赤字)に着地。医薬品事業で、昨年12月に締結したアルフレッサ株式会社との細胞製品の輸送コンサルティング基本契約に基づく治験製品の輸送体制の構築支援による収益は第3四半期にずれ込むことから、売上高は計画を下回ったが、細胞医療事業で、当初想定の症例実績があったため、赤字幅は当初計画から縮小した。

 今18年12月期業績予想は、売上高5億1000万円(前期比46.7%減)、営業損益10億6000万円の赤字(同2億4500万円の赤字)、経常損益11億1500万円の赤字(同2億6100万円の赤字)、最終損益11億2000万円の赤字(同6億4300万円の赤字)を見込む。年間配当予想は、無配継続を予定している。

 株価は、3月19日につけた年初来高値870円から9月14日の年初来安値203円まで調整を挟んで10月2日高値436円と上昇。その後はモミ合っているが、300円割れで下値を固めた感がある。細胞医療事業で、細胞加工の製造開発受託事業に参入することが注目される。細胞加工施設(CPC)を持たない医療機関に同社独自の樹状細胞ワクチン等を提供することを可能になることから、来期以降、収益に貢献する見通し。また、9月に台湾の上場バイオテクノロジー企業であるベクトライト・バイオメディカルと業務提携によって、テラは契約一時金80万ドル(88.720百万円)を受領するほか、ベクトライト社がテラの技術やノウハウを用いてがん治療用免疫細胞加工を実施する際には、実施件数に応じたロイヤルティーを受け取る予定で、中長期的に収益は回復すると期待される。上値抵抗線の26週移動平均線を突破出来れば、本格的なリバウンド相場入りとなりそうだ。(株式評論家・信濃川)

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