メディカル・データ・ビジョンは不採算事業の整理を終えV字型の収益回復を目指す

■大規模診療データベースの伸びなど順調で新規重点事業を確実に強化

メディカル・データ・ビジョン<3902>(東1)の2018年12月期の連結決算は、保有する大規模診療データベースが2593万人(18年12月末現在)となり、前期末の2117万人(17年12月末現在)から22%増加するなど、主事業である医療ビッグデータ利活用サービスのベースが大きく拡大。連結売上高は35.77億円(前期比10.9%の増加)となり、連続で過去最高を更新した。

■営業、経常利益は第3四半期での通期予想を各々69%上振れる

 一方、利益面では、前期に設立した子会社MDVコンシューマー・ヘルスケア株式会社のスキンケア製品シリーズの大幅な販売計画の遅れにより、第3四半期に売上原価として商品評価損を1.3億円計上したことなどにより、営業利益は3.51億円(同38.2%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は0.7億円(同80.4%減)となった。

■アドホック調査サービスは外資製薬などのニーズ多く35%増加

 これに対し、同社では、同子会社の全部の事業からの撤退を発表(19年1月15日付)した。また、第3四半期決算の段階では、この12月決算の予想数字は発表値よりも一段低い水準だったが、第4四半期に入り、医療ビッグデータを新薬開発などの目的に活用するアドホック調査サービスで特に外資製薬メーカーのニーズが想定を上回る推移となったことなどにより、同サービスは35.4%増加。連結営業、経常利益は、第3四半期発表段階での通期予想を各々69%上振れて着地した。(HC)

■「CADA-BOX」(カーダ・ボックス)は早期のブレイクスルーめざす

今期・2019年12月期は、アドホック調査サービスなどは順調に拡大する見込み。このため、重点事業を確実に強化する方針とし、まずは、新規事業として子会社のMDVトライアル社が行うデータ活用治験事業、同じくMDV-Doctorbook(ドクターブック)社が行う医師ネットワーク事業の黒字化を目指すとした。

 また、画期的な医療ITシステムとして注目される「CADA-BOX」(カーダ・ボックス:患者自身が診療情報の一部を保管・閲覧できるWEBサービス「カルテコ」と、患者が自由に支払い条件を設定できる医療費後払いサービス「CADA決済」を電子カルテと連携させ活用するサービス)は、3Q時点では導入病院数が7病院だったが、年末に東京都内で初めて導入する病院が決定し、2月12日現在の導入病院数は8病院(稼働中5病院、準備中3病院)となった。「これまでの例から、導入数が30病院を超えればブレイクスルーの段階を迎える」(岩崎社長)との観点から、できるだけ今期中に新規導入数の22病院を目指すとした。

 このような取り組みにより、今12月期の連結業績見通しは、営業利益などでV字型の急回復を見込み、売上高は2ケタ続伸の42.50億円(前期比18.8%の増加)、営業利益は5.0億円(同42.2%の増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は2.79億円(同約4倍)とした。予想1株利益は6円98銭。(HC) 

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■全従業員にAI活用徹底、業務改革を本格化  LINEヤフー<4689>(東証プライム)は7月14…
  2. ■50年以上親しまれたかぜ薬が国内市場から姿を消す?  大正製薬は7月14日、塗るかぜ薬「ヴイック…
  3. ■鈴鹿8耐で新型CBコンセプト登場  ホンダ<7267>(東証プライム)は7月11日、大型ロードス…
2025年9月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

ピックアップ記事

  1. ■01銘柄:往年の主力株が再評価、低PER・PBRで買い候補に  今週の当コラムでは、買い遅れカバ…
  2. ■日米同時最高値への買い遅れは「TOPIXコア30」と「01銘柄」の出遅れ株でカバー  日米同時最…
  3. ■東京株、NYダウ反落と首相辞任で先行き不透明  東京株式市場は米国雇用統計の弱含みでNYダウが反…
  4. ■株式分割銘柄:62社に拡大、投資単位引き下げで流動性向上  選り取り見取りで目移りがしそうだ。今…
  5. ■金先物相場を背景に産金株が収益拡大の余地を示す  東京市場では金価格の上昇を背景に産金株が年初来…
  6. ■大統領の交渉術が金融市場を左右し投資家心理に波及  米国のトランプ大統領は、ギリシャ神話に登場す…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る