【製茶業の倒産・休廃業・解散動向】休廃業13件で過去最多、抹茶ブームの陰で中小業者に逆風

■製茶業の退出が過去最多、茶葉不足とコスト高が直撃

 帝国データバンクは3月6日、2025年の「製茶業」の倒産・休廃業・解散動向に関する調査結果を発表した。2025年に発生した製茶業の休廃業・解散は13件となり、前年(8件)を上回り過去最多を更新した。倒産1件を含めると、年間で14の製茶業者が市場から退出した。空前の抹茶ブームによる需要拡大の一方、茶葉の仕入れ価格や各種コストの上昇が経営を圧迫し、特に中小製茶業者で事業継続が難しくなる実態が浮き彫りとなった。

■抹茶ブームの影響と収益の二極化

 近年は「抹茶スイーツ」や「抹茶ラテ」などを背景に世界的な抹茶人気が高まり、日本茶市場への注目も集まっている。一方、製茶業界では抹茶以外の日本茶需要の低迷や煎茶原料の価格高騰が重なり、経営環境は不安定化している。2024年度決算における製茶業約300社の損益動向では、前年度から「増益」となった企業は42.7%と4割を超えた。他方、「減益」25.4%と「赤字」29.4%を合わせた業績悪化企業は半数を超え、収益力の二極化が鮮明となった。

■原料不足とサプライチェーンの縮小

 製茶業者の多くは茶葉の収穫から加工までを担うが、国内では茶農家の担い手不足と高齢化が進み、茶畑面積は縮小傾向が続く。需要拡大が続く抹茶向け原料の碾茶(てんちゃ)への出荷シフトが進む一方、煎茶原料となる生葉の供給量は減少している。さらに大手飲料メーカーもペットボトル緑茶向け原料の確保を進めており、中小製茶業者が適正価格で原料を確保することは難しくなっている。加えて、香典返しなど冠婚葬祭向け需要の減少や町の茶小売店の廃業も相次ぎ、「仕入れられない」「売る場所がない」というサプライチェーンの縮小に直面している。

■生き残りに向けた新たな取り組み

 こうした環境のなか、生き残りをかけた新たな取り組みも広がっている。機械化や省人化が比較的容易なティーバッグや加工茶に注力する動きのほか、人気キャラクター「初音ミク」とのコラボレーションによる若年層向け販促、ワイングラスで楽しむ高級日本茶の提案など、飲用体験そのものをブランド化する試みも始まった。抹茶ブームの陰で、煎茶を中心とした伝統的な日本茶ビジネスの価値をどのように再定義するかが、今後の製茶業の大きな課題となっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)

関連記事


手軽に読めるアナリストレポート
手軽に読めるアナリストレポート

最新記事

カテゴリー別記事情報

ピックアップ記事

  1. ■シャープ堺工場跡地を再活用、水冷技術と再エネ電力で高性能計算を実現  KDDI<9433>(東証…
  2. ■2026年3月6日全国公開、日本の観客へ感謝を込めた特別版  ギャガは、『映画 冬のソナタ 日本…
  3. ■写真555点で広がる味覚の世界、0歳からの「はらぺこ図鑑」  学研ホールディングス<9470>(…
2026年3月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

ピックアップ記事

  1. ■JR東日本、約40年ぶり運賃改定で鉄道株に注目  JR東日本<9020>(東証プライム)は3月1…
  2. ■中東情勢の行方が左右する「彼岸底」シナリオと原油危機回避の可能性  願わくば少なくともアノマリー…
  3. ■投資バリューは中立も株価材料として機能する局面も  株式市場は3月相場入りを控え、株式分割銘柄の…
  4. ■東京市場、株式分割ラッシュ拡大、値がさ化の進行が契機  3月相場は、また「二日新甫」である。「二…
  5. ■地銀・建設・リサイクル株が業績上方修正クラスターを形成  今週の当コラムは、内需ディフェンシブ株…
  6. ■「TACO」神話揺らぐ、内需関連が上場来高値圏  またまた「TACO(トランプはいつも尻込みする…

アーカイブ

「日本インタビュ新聞社」が提供する株式投資情報は投資の勧誘を目的としたものではなく、投資の参考となる情報の提供を目的としたものです。投資に関する最終的な決定はご自身の判断でなさいますようお願いいたします。
また、当社が提供する情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。また、予告なく削除・変更する場合があります。これらの情報に基づいて被ったいかなる損害についても、一切責任を負いかねます。
ページ上部へ戻る