【製茶業の倒産・休廃業・解散動向】休廃業13件で過去最多、抹茶ブームの陰で中小業者に逆風
- 2026/3/10 14:57
- その他・経済

■製茶業の退出が過去最多、茶葉不足とコスト高が直撃
帝国データバンクは3月6日、2025年の「製茶業」の倒産・休廃業・解散動向に関する調査結果を発表した。2025年に発生した製茶業の休廃業・解散は13件となり、前年(8件)を上回り過去最多を更新した。倒産1件を含めると、年間で14の製茶業者が市場から退出した。空前の抹茶ブームによる需要拡大の一方、茶葉の仕入れ価格や各種コストの上昇が経営を圧迫し、特に中小製茶業者で事業継続が難しくなる実態が浮き彫りとなった。
■抹茶ブームの影響と収益の二極化
近年は「抹茶スイーツ」や「抹茶ラテ」などを背景に世界的な抹茶人気が高まり、日本茶市場への注目も集まっている。一方、製茶業界では抹茶以外の日本茶需要の低迷や煎茶原料の価格高騰が重なり、経営環境は不安定化している。2024年度決算における製茶業約300社の損益動向では、前年度から「増益」となった企業は42.7%と4割を超えた。他方、「減益」25.4%と「赤字」29.4%を合わせた業績悪化企業は半数を超え、収益力の二極化が鮮明となった。
■原料不足とサプライチェーンの縮小
製茶業者の多くは茶葉の収穫から加工までを担うが、国内では茶農家の担い手不足と高齢化が進み、茶畑面積は縮小傾向が続く。需要拡大が続く抹茶向け原料の碾茶(てんちゃ)への出荷シフトが進む一方、煎茶原料となる生葉の供給量は減少している。さらに大手飲料メーカーもペットボトル緑茶向け原料の確保を進めており、中小製茶業者が適正価格で原料を確保することは難しくなっている。加えて、香典返しなど冠婚葬祭向け需要の減少や町の茶小売店の廃業も相次ぎ、「仕入れられない」「売る場所がない」というサプライチェーンの縮小に直面している。
■生き残りに向けた新たな取り組み
こうした環境のなか、生き残りをかけた新たな取り組みも広がっている。機械化や省人化が比較的容易なティーバッグや加工茶に注力する動きのほか、人気キャラクター「初音ミク」とのコラボレーションによる若年層向け販促、ワイングラスで楽しむ高級日本茶の提案など、飲用体験そのものをブランド化する試みも始まった。抹茶ブームの陰で、煎茶を中心とした伝統的な日本茶ビジネスの価値をどのように再定義するかが、今後の製茶業の大きな課題となっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)























