【編集長の視点】TDKは連続増益業績が市場予想を上回りADR続伸もサポートして急反発

TDK

TDK<6762>(東1)は、440円高の8760円と4営業日ぶりに急反発して始まり、3月17日につけた年初来高値9260円を射程圏に捉えている。きょう30日の日経平均株価が、333円安と急反落してスタートし再び2万円台を割っているなか、逆行高を鮮明化している。祝日前の28日大引け後に3月期決算を発表、前2015年3月期業績が、今年1月30日の再上方修正値を上ぶれて着地し、今2016年3月期業績も2ケタ増益を予想、市場コンセンサスをクリアすることを手掛かりに主力株買いが再燃している。今期配当も大幅な連続増配を予想、東京市場が休場中の米国市場で同社ADR(預託証券)が、東京市場の28日終値に対して28日、29日の2日間合計で147円高(円換算値)と続伸して返ってきたことも、サポート材料になっている。

■最高純益にあと約65億円と迫り配当は年間120円と大幅連続増配

同社の前2015年3月期業績は、売り上げが、初めて1兆円の大台に乗せ、利益が、今年1月の再上方修正値を24億円~74億円上ぶれ前々期比10.0%増収、97.9%営業増益、87.4%継続事業税引前純益増益、3.03倍純益増益と大幅続伸した。受動部品部門では、自動車市場向けにセラミックコンデンサやインダクティブデバイスの販売が増加し、高周波部品の販売が、スマートフォン向けに伸び、磁気応用製品部門でも、HDD用ヘッドが、データセンター向けに拡大、期中の平均為替レートが、1ドル=109.84円、1ユーロ=138.88円と前々期に比べそれぞれ9.6%、3.3%の円安となり、この為替変動で売り上げが約797億円、営業利益が約150億円増えたことが要因となった。

今2016年3月期業績は、為替レートを1ドル=115円、1ユーロ=130円と想定し、引き続きスマートフォン、自動車向けの電子部品の需要が堅調に推移するとして、売り上げ1兆1800億円(前期比9.0%増)、営業利益950億円(同31.1%増)、税引前純利益950億円(同27.5%増)、純利益650億円(同31.5%増)と見込み、純利益は、2008年3月期の過去最高(714億6100万円)にあと約65億円と迫るとともに市場コンセンサスを約2億円上回る。配当は、前期に90円(前々期実績70円)に増配し、さらに今期は120円と大幅連続増配を予定している。

■PER16倍台の割安修正で2007年10月以来の1万円大台で活躍も

株価は、昨年10月の前期業績の上方修正で7000円台に急伸し、今年1月の再上方修正・前期配当の増配では年初来高値9260円まで1850円高し、この急伸幅の半値押し水準まで調整した。PERは16倍台と割安となり、高値奪回から2007年10月以来の1万円台での活躍も想定範囲内となってくる。(本紙編集長・浅妻昭治)

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