トーセは連日の年初来安値も2ケタ増益転換業績と年間25円の高配当を手掛かりに底値買いが交錯

 トーセ<4728>(東1)は、前日17日の前場取引時間中に838円まで下ヒゲを伸ばし、連日の年初来安値更新となったが、後場には867円まで切り返し、大引けでは2円安の865円と小幅続落にとどまった。この日の日経平均株価が、売り方の買い戻しを中心に反発したものの、東証第1部の売買代金が、2兆651億円と薄商いで依然として様子見ムードが強い相場環境下、同社株にもポジション調整の売りが続いた。ただ同安値水準では底値買いも交錯しており、今2019年8月期業績が、大型プロジェクトの寄与で2ケタの増益転換が予想され、年間配当も25円で安定継続を予定していることなどが見直されている。年明けの来年1月早々の10日に発表を予定している今期第1四半期(2018年9月~2018年11月期、1Q)決算への期待も、側面支援材料視されている。

■開発金額が1億円以上の大型プロジェクト件数は前期の8件から11件に拡大

 同社の今2019年8月期業績は、売り上げ53億2700万円(前期比17.9%増)、営業利益2億7100万円(同18.6%増)、経常利益3億3200万円(同24.2%増)、純利益1億9200万円(同2.4%増)と予想されている。前期業績は、顧客先の都合による開発中止案件が発生し、人材育成の販管費増なども重なり減益転換となったが、今期は、大型プロジェクト案件の増加などにより減益を1期のみに止め大きく増益転換する。

 具体的に開発金額が5000万円以上の大型プロジェクト件数は、前期と横並びの14件を予定しているが、開発金額が3億円以上の件数が3件(前期1件)、1億円以上が8件(同7件)に増加し、ストック収入として安定的な収益を見込む運営サイト数も、26サイトと高水準を維持する。また中期経営ビジョン「NEXT 2021」の柱となっているスマートフォンゲーム事業では、分析チームを設置した開発・運営を強化するほか、アジア圏を中心とした海外事業強化に向け、海外事業部を廃止し海外開発サポート室と海外事業推進室を新設し本腰を入れることなども寄与する。

 なお配当は、企業体質の強化と新ビジネス分野への積極的な事業展開に備えるための内部留保資金の充実を図りつつ、株主への利益還元を進めることを基本方針に年間25円(前期実績25円)を安定継続する。

■25円配当を市場平均利回りまで買うと1288円の理論株価も浮上し底上げを支援

 株価は、前期配当の権利落ちでつけた977円安値から1000円大台にリバウンド、大台固めを続け、今期業績の2ケタ増益転換予想にも世界同時株安に巻き込まれて反応は限定的で、下値模索が続き年初来安値838円へダメ押しをした。同安値は、配当利回りが2.98%と東証1部全銘柄平均の1.94%を大きく上回り、テクニカル的にも25日移動平均線から8.41%のマイナスかい離と売られ過ぎを示唆している。25円配当を市場平均並みの1.94%まで買うと1288円の理論株価も計算できるだけに底上げを支援し、1000円大台奪回から一段の戻りを試す展開が期待される。(本紙編集長・浅妻昭治) 

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